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《ネタバレ》 いきなりどうでもいいようなことだけど、美人秘書をわんさかとはべらすシンドラー (リーアム・ニーソン) がよかった。女たちにタイプを打たせて、それを楽しそうに眺める彼の姿が笑えた。この題材ですら、"娯楽性" にこだわるあたり、とてもスピルバーグらしいな、と。もしかしたら、「ジョーズ」や「インディ・ジョーンズ」すら、本作への試金石だったのかもしれない。そう思えるほど、ユダヤ系の大映画監督がやがてたどり着く、集大成であり到達点のような映画だった。 冒頭、野心のかたまりであったシンドラーは、はっきり言っていけ好かない。しかし、障害者の従業員がナチスに殺られたあたりから、明らかに彼の心に "変化" が生じていく。彼の怒りは単なる一経営者としてか、ナチス上層部への対抗心か、それとも「正義感」が芽生えたのか、ここではまだわからない。やがて、殺りくと死体の山を目の当たりにして、彼が決意したのは、自分が救わなければならない「使命感」だろう。オスカー・シンドラーその人が、人道主義者として覚醒し成長していくという、彼自身の "成長記" としてもよくできた映画だ。 そして、彼が救ったユダヤ人たちに見送られる最後の場面は、私の心に深く突き刺さり、生涯忘れることはあるまい。このとき、リーアム・ニーソンの涙は、確かに演技などではなかった。 数限りなく悲惨な出来事があったホロコーストという歴史について、赤い服の少女と、この涙と、彼を見つめるユダヤ人たちの眼差しが、私に多くのことを教えてくれた。
【タケノコ】さん [DVD(字幕)] 9点(2021-02-22 13:34:40)
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