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《ネタバレ》 まず、日本が密かに世界に誇る文化である「トイレ」を題材にしてくれるとは、これは最高のリスペクトだよなぁ。 平山 (役所広司) の質素な生活ぶりにしては、音楽の趣味がよく洗練されていて洒脱という印象を受けるが、そこは妹の登場にて納得。きっと、平山の実家は裕福であり、彼も育ちは悪くなく、若い頃に培った教養や感性のまま、何か理由があって、暮らしだけ質素に落ち着いたことをうかがわせるものであるから。 かいつまんで、平山にキスした女の子は、たまたま選んだあのカセットテープから、父の思い出がつまった "歌" に、ようやく巡りあったのではないのか・・・? これは憶測にすぎないが、安易に回想で過去を語ることなく、状況から視聴者に物語を想像させる演出の数々が好ましい。 この映画は、古今東西、大いに語り尽くされてきた「幸せ」について問いかける内容となっていた。 本作で言うなら、他人に左右されることなく、(自分にとって) 変わらず普遍的なもの、、だろうか。 音楽、写真、観葉植物 といった「趣味」。 銭湯、飲み屋、古本屋 といった「場所」。 そして、変わらないこと「ルーティン」。 自分が好きなもの、そのあらゆる全てを感じながら生きること・・・。 渋谷や下町あたりの、普段あまり気にも留めないような風景が美しく撮られていた。 平山の、さりげない日常の反復のようでいて、毎日違う顔を魅せる、いつもの風景。その一画一画はとても洗練されていて、時折、写真集のページをめくっているような、実に味わい深い映画であった。
【タケノコ】さん [インターネット(邦画)] 8点(2025-01-06 23:07:02)《更新》
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