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レビューその③ 前半のラストシーンを劇的たらしめているのはプロットだけの活躍ではなく照明の力も大きい。この映画、「スカーレットってあまりに度を越えてわがまま過ぎるからどうしても感情移入が出来ない」という人も結構いますけど、そんな人でもほとんどの場合は「でもまああの前半のラストシーンだけは良かったかな」と思われるんじゃないでしょうか。あんなに憎たらしいと思っていたスカーレットにどうしてあそこだけは感情移入ができるんでしょうか。あそこのシーンをよく見てみると、直前のシーンでスカーレットの顔がシルエットになって、どんな表情をしてるのかが分からないようになっている。実はこれがミソ。どんなにスカーレットが嫌いな人でも、いやむしろ嫌いな人ほど「こんな状況下であのわがままお嬢様がどんな泣きっつらをしているのかが見てみたい」と思うはず。もちろんスカーレットが好きな人(私はこっちです)もやはりこの重要場面での彼女の表情は凄く気になる。そのまさに“ここ”というシーンでなんと! 顔が見えない!! いや~、賢いですねえ。これじゃあ、スカーレットの心は自分で想像するしかないわけです。でも決して押し付けがましいシーンにはなっていない。実質上は「はい、今のスカーレットの絶望的な心情を察してね」という、誘導的、洗脳的なシーンのはずにもかかわらず、まあ、これはとにかく観て頂ければ分かると思うんですが、すごく自然にスカーレットに感情移入していき易く撮られている。この時代の映画で人の顔を隠すという手法を取り入れた有名映画としては「市民ケーン」がやたら持ち上げられてますけど、私は絶対にこっちの方が頭の良いナイスセンスな使われ方だと思いますよ。だってケーンの場合は「観客の注意を喋っている人物ではなくセリフの内容に向けさせる為」という、ある意味「見た目そのまんまやんけ!」という使われ方なのに対して、こちらは「表情を見せないことこそ最強の感情表現なんだ」というお洒落な使われ方ですから。ま、ともかく「単純にシルエット効果により威圧感が増すから」とか、あるいは逆に「見方によっては『彼女の名誉を守るため』という意味合いに取れなくもない」などといった他の様々な理由などとも相まって、スカーレットを白い目で見ていた人でもここだけは「ついフッと…」感情移入してしまうようになっているのであります。レビューその④に続く…。
【バーグマンの瞳】さん [地上波(字幕)] 10点(2013-12-03 12:03:10)
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