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《ネタバレ》 語りがメインのヒューマン医療時代劇「赤ひげ」。
「生きる」は重すぎてダメだったけど、この作品は嫌いじゃない。 俺としては「椿三十郎」や「七人の侍」みたいに刃を抜いて戦って戦いまくる映画こそ黒澤だと思うけど、こういう心と心をぶつけて“闘う”ヒューマンドラマも好きだぜ。ヒューマニズムこそ映画だ。 当時の医療や人々の交流を通じて、人間の本質に迫ろうとする。 かなり長いし、全体的に淡々とした語りで退屈してしまうかも知れないが、この映画は見れば見るほどじんわり染み込む類の作品だと思う。 しかもこの作品は前・後篇に別れている上にオムニバス風味。無理をせず少しずつ消化していくのも良いし、好きな人は一気に見てその積み重ねを味わうのも良い。 時に冷たく、時に辛辣に、時に暖かく見守るような描写は見応えがある。 加山雄三演じる若い医者。最初生意気だったけど、幾つもの修羅場を潜って徐々に成長していく。王道だが、こういうのは良いもんだね。 アクションシーンは全然無いけど・・・え? 何処ぞの用心棒そっくりなオッサンがゴロツキぶちのめしまくって暴れてる? 恐ろしい表情の香川京子が加山雄三を殺そうとしてる? やだなあ~。そんなエグイシーン出てくるわけ無いじゃないですか~(棒読み) あれだけ痛めつけておいて自分で治療をはじめるんだから面白い。でも骨が飛び出てるのはやりすぎ(笑) 地震の被害を地震後の惨状だけで語る、まっ裸の女の治療も傷口を見せない(乳首は見えた)、生死をさ迷う子供がどうにか一命を取り留める様子を見せない“演出”。もどかしさも黒澤映画随一。 でも井戸に向かって全員で一斉に叫び続けるシーンは胸に響くぜ。 体も病めば心も病む。 内も外も健全でこそ健康と言える。 ラストの二人の会話も印象的。 情の厚い人間ドラマだ。 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 19:13:08)
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