おとなのけんか の 柚 さんのクチコミ・感想

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おとなのけんか の 柚 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 おとなのけんか
製作国,,ポーランド
上映時間79分
劇場公開日 2012-02-18
ジャンルドラマ,コメディ,戯曲(舞台劇)の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 なんともいや…すごいというか、ここまでやるか…というか、欧米人(アングロサクソン)のすさまじさに呆れるし、脱帽もする。日本人などが想像もできないほど思弁的で感情的だ。ため息が出るほどの違いだ。子供のケンカに端を発して二組の夫婦が事後処理に集まるが、収拾がつかなくなる。それどころかますますエスカレートして、二家族の間、二つの夫婦それぞれの間、4人の大人それぞれが入り乱れて喧嘩しはじめる。子供同士はなんなく仲直りしたことが最後に示唆されているが、少しもめでたくはない。最後には全員が消耗しつくし、くたくたになって果てるが、終わりではない。そのことは花瓶に投げ込まれて故障していたはずのケータイが復活して最後に鳴りはじめることでも分かる。じつはこの小道具がこの劇の隠れた舞台回しをやっていた。悪辣な製薬会社の顧問弁護士をやっているケイトの夫に何度もかかってきて、4人の話し合いを中断させる。これが訴訟社会・競争社会である外の世界を思い知らせている。劇の進行と会社に入れ知恵する男の助言がぴったり合っている。原題はCarnageとのことだが、これは「修羅場」か、それとも「リベラルな」ジョディが話すスーダンの「大量虐殺」も暗示してるのか。つまりそういうアフリカの現実ほどわれわれは荒んでいるということか…。たしかにこれはやり過ぎでもある。最後の三分の一くらいになると、もうやめてくれと言いたくなる。しかしそれは私の甘さかもしれない。酒も入り四人をズタズタにすることが監督の狙いだったのかもしれない。とにかくすごかった。わたしの好きなケイト・ウィンスレットが立ったまま大量のゲロを吐く。あの演技はあらかじめ口に含んでいるだけではできないはず。胃から吐き出したとしか考えられない量だ。あのシーンを抜きにしても、すべてが徹底していた。まったく毛唐のやることは…、明治人ならこうつぶやきたくなるような、そんなすごい映画だった。
さん [DVD(字幕)] 8点(2014-07-20 15:27:52)
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投稿日付邦題コメント平均点
2018-08-25ニンゲン合格3レビュー6.31点
2018-04-25花とアリス〈劇場版〉9レビュー7.29点
2016-12-25恐怖のメロディ8レビュー6.12点
2016-06-28東京上空いらっしゃいませ7レビュー6.36点
2016-04-01センチメンタル・アドベンチャー8レビュー7.08点
2016-02-10ジョニーは戦場へ行った5レビュー7.30点
2016-01-25恋人たち(2015)3レビュー5.58点
2016-01-03ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日8レビュー7.35点
2015-12-03永遠の僕たち7レビュー6.44点
2015-11-30アメリカン・ビューティー8レビュー7.00点
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