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《ネタバレ》 私が小学校の低学年のとき、リバイバル公開されたディズニー映画の「バンビ」を母に連れられて見に行った際、ちょうどこの作品のリバイバル公開の予告編が流れました。そのときの衝撃は今でも忘れられません。サイクロプスの「目」には、それまで慣れ親しんできたウルトラ怪獣には感じられなかった「意志=しっかりと人間を見つめている」が感じられましたし、人間が投げた槍がサイクロプスに突き刺さるなど、幼い私にも「どうやって撮ったんだろう?」と技術の高さが十分に伝わってきました。残念ながら、当時の私は字幕を読む自信がなく「洋画は怖いもの」という先入観もあり、親に映画館へ連れて行けとはねだらずに「いつか見てみたい」と願い続けていました。
それから10年後、某名画座でシンドバッドシリーズ全作品を見ることができ、ようやく夢が叶いました。上映順は、①黄金の航海、②当作品、③虎の目大冒険、でした。個人的には黄金の航海も好きで、その旨、レビューにも投稿していますが、やはり当作品が最高だと思いました。巨大なモンスターとの絡みや、緻密なチャンバラシーンなど、その後のハリーハウゼン氏のカラー作品の出発点・雛形と言ってもいいと思います。その魅力については、他の皆さんが語ってくれているので、私がここに詳しく描く必要はないと思いますが、必ずしも恵まれた予算ではなかっと聞いていますので、それも驚きです。バーナー・ドハーマンによる音楽も、よーく聞くと予算を裏打ちしてか、必ずしも大編成のオーケストラではないようですが【オープニングやバグダッドの場面での曲は華やか、サイクロプスなどの場面では重厚で力強く】というように多彩であって【低予算の音楽】という印象は全く受けず、映像を一層、際立たせていると思います。ハーマンと言えば、ヒッチコック作品などサスペンス映画が有名ですが、本によっては、当作品をハーマンの代表作の一つに挙げている場合もあり、個人的には「なるほどな」と思います。 なお、その後、DVD収録版で見直してみると、画像の鮮明さが裏目に出て?、背景の実写に対し、人形の合成が十分に溶け込まずにやや浮いているようなカットもあるな…とは思いました。しかし、それまで誰も成しえなかった「カラーフィルムによる実写と人形との合成」にチャレンジし、一定の成果を挙げたわけですから、些末的なものかな…と思われます。 数多くのフィルムメーカーに多大な影響を与えたファンタジー映画の古典として、10点を献上するに相応しい作品だと思います。 平成29(2017)年8月12日(土)追記:【カラーフィルムによる実写と人形(モデルアニメーション)との合成】による最初の特撮映画作品は、当作品より2年早く公開された【原始怪獣ドラゴドン(1956年)-製作会社・特撮担当は全く別】だと、最近、気づきました。知識が曖昧なまま投稿してしまい、今さらではあるのですが失礼いたしました。ただし、モデルアニメによる恐竜の登場シーンは短く、クオリティーも残念ながら低いと言わざるを得ません。したがって【それまで誰も成し得なかった】は不正確でしたが【一定の成果を挙げた】という意味では、当作品に軍配が上がるように思われます。 そして最後に…これは余計なお節介、或いは、年配者による上から目線の物言いかもしれませんが…豊富な予算に裏付けられたCGを使った作品が当たり前になっている若いレビュアーさん達には、可能なら、上述の【ドラゴドン】をはじめとする当時のトリック映画の数々を観てから、当作品をご覧になることをお勧めします。如何にハリーハウゼン作品の映像のクオリティーが高いかがおわかりいただけることでしょう。 【せんべい】さん [DVD(字幕)] 10点(2014-12-12 22:54:53)
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