ザ・グリード の ゆき さんのクチコミ・感想

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ザ・グリード の ゆき さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ザ・グリード
製作国
上映時間107分
ジャンルアクション,ホラー,モンスター映画
レビュー情報
《ネタバレ》  「乗客の殆どが消えた豪華客船に、主人公達が遭遇する」という、マリー・セレスト号事件のような粗筋なのですが……
 この映画には「怪談」「謎解き」的な要素なんか皆無で、ひたすら分かり易いモンスター映画として作ってあるのが痛快でしたね。

 上述の「乗客が消えた理由」に関しても、普通なら途中まで謎にして不気味な雰囲気を漂わすもんなのに、本作に関しては「怪物が豪華客船を襲撃する場面」を、序盤で描いちゃってるんです。
 これには本当、驚かされました。
 低予算の映画であれば間違いなく省略してたはずの場面を、惜しみなく見せるというサービス精神。
 「観客の想像に委ねる」という形で「逃げる」事も許されたはずなのに、それを良しとせず「観客の想像より、もっと凄いのを見せてやるぜ」とばかりに、迫力満点な襲撃シーンを描いてみせた作り手の心意気には、もう感服するばかりです。

 映画オタクって、つい低予算な映画を評価したがるものなんですけど、本作に関しては(予算があるって、良いもんだな……)と思えたし「必要な場面の為に、必要な予算を確保してみせた」というのは、立派な長所の一つなんだなって、蒙を啓かせてもらった気分。
 
 そんな怪物襲撃の場面だけでなく、怪物と対峙する人間側の描写も、魅力たっぷりで良かったですね。
 特に、主人公であるフィネガンの描き方が良い。
 金の為なら怪しい仕事も引き受ける船長という、アウトローな人物なんだけど、部下を救う為に危険を冒したりとか「良い人」としての面も、ちゃんと描いてる。
 強さや頼もしさも程好いバランスであり、銃を持った強盗達に一歩も退かないタフガイっぷりを見せた後「寿命が縮んだぜ……」と、小声で弱音を吐いたりするんですよね。
 何とも憎めなくて、この手の映画の主人公としては、理想形の一つとすら思えました。

 脇を固める部下のパントゥッチに、ヒロインである女怪盗のトリリアンも良い味を出しており、この三人が生き残るハッピーエンドであった事は、本当嬉しかったです。
 他人を犠牲にして助かろうとした結果、悲惨な末路を辿る強盗犯のボスも印象深いし、本作が「勧善懲悪」を重視した映画であった事が窺えますね。
 主人公達が生き延びた事を素直に喜び、悪人達が死んだ事に関しては「自業自得」と思えるのって、本当に理想的。

 他にも「敵の本体が姿を現す際の、怪獣映画みたいなBGMが素敵」とか「怪物の目玉をショットガンで撃ち抜く場面が最高」とか、褒め出したらキリが無い映画です。

 ただ、終わり方に関しては……
 出来れば「主人公達三人が生き残ったハッピーエンド」という、爽やかな形で終わらせて欲しかったですね。
 「ようやく辿り着いた島には、更なる怪物が待っていた」って暗示させる終わり方も、まぁ悪くはないんだけど、せっかく「怪物を退治してみせた達成感」を上手く描けてた訳だから、そのまま終わっても良かったと思うんですよね。
 「今度は何だ?」という主人公の決め台詞で終わるのに、その「今度」を描かず仕舞いっていうのが、何とも意地悪に思えて仕方無かったです。

 総評としては「終わり方に難有りだけど、中々の傑作と呼べる一品」って感じに落ち着くでしょうか。
 この作品の一年後、ソマーズ監督は「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」(1999年)をヒットさせ、その続編も手掛けた訳だけど……
 自分としては「ザ・グリード」の続編も、是非観たかったです。
ゆきさん [DVD(吹替)] 8点(2022-07-21 21:15:24)(良:2票)
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