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《ネタバレ》 何と吃驚。まさかの討ち入り場面カット!
「忠臣蔵」におけるクライマックスが、事の仔細を書状にて読み上げる形で、台詞のみで表現されてしまうのだから、唖然とさせられました。 後に色々と調べてみたところ 「溝口監督としては、忠臣蔵を撮るとしても、戦意高揚のプロパガンダ映画にはしたくないと考えており、血生臭い討ち入りの場面が存在しない『元禄忠臣蔵』を原作に選んだのではないか?」 なんて推測も浮かんできたのですが、真相や如何に。 いずれにしても、楽しみにしていた「溝口監督の描く吉良邸討ち入りの場面」を観られなかった事は、非常に残念でしたね。 映画としては、その代わりのようにクライマックスとして「十郎左と、おみの」のエピソードを用意しており、それに関しては、実に溝口監督らしい仕上がりとなっていた為、満足。 作中の台詞で「女の心」なんてワードが飛び出すだけでも(あぁ、溝口映画だなぁ……)と、奇妙な安堵感を味わえましたね。 いっその事、もっとこのエピソードを中心に据えて、オーソドックスではない、外伝的な忠臣蔵映画として纏めた方が良かったんじゃないかな、と思えたくらいです。 この映画を楽しむ上では 「忠臣蔵のストーリーを、殆ど知らない」 「討ち入りの場面が存在しない事を、予め知っている」 という、いずれかの状態である事が望ましいのでしょうが、自分はどちらにも当てはまらなかったようで、実に無念。 とはいえラストシーンにて、これから切腹を行う大石内蔵助の、満足気な笑みを湛えた姿を映し出して終わる形なのは、好みであり、嬉しかったですね。 悲劇的でありながらも、仇討ちを遣り遂げた達成感が窺えて、ハッピーエンドとも呼べそうな雰囲気。 期待していた内容とは違っていたけれど、その格調の高さゆえに「期待外れ」と評する事は憚られる……そんな映画でありました。 【ゆき】さん [DVD(邦画)] 5点(2016-09-13 18:13:33)(良:1票)
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