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《ネタバレ》 鏡の中の自分が勝手に動き出し、刃物で自らの喉を斬ってみせるオープニングが衝撃的。
その他にも「鏡に映るものは思ったより近くにあります」という注意文の使い方に「ドアノブや水さえも鏡になる為、家に閉じ籠っていても逃げ場は無い」と思い知らされる展開など、印象的な場面が幾つもあって、飽きさせない作りになっていましたね。 先日ドラマの「24」を全話視聴したばかりという事もあり、キーファー・サザーランド演じる主人公にも、自然と感情移入出来ました。 中盤、鏡の中の顔が歪んでいるのを見て驚く主人公の姿が、妙に滑稽で(怖がらせようとしているのか、笑わせようとしているのか分からない)と戸惑う一幕もありましたし、監督さんの趣味なのか日本製アニメのポスターがやたら目立つのは気になりましたが、まぁ、この辺りは「愛嬌」として、笑って受け流せる範疇でしたね。 それに対し、見過ごせない「難点」と呼べそうなのは…… ・「同僚を誤射で殺してしまった警官」という主人公の背景が、物語の本筋に絡んでこない事。 ・「主人公の妹」が序盤でアッサリ殺されてしまう事。 と、この辺りが挙げられるでしょうか。 前者に関しては、恐らく元ネタである「Mirror 鏡の中」を意識した設定なのでしょうが「鏡のせいで誤射してしまった」というあちらに比べると、あまり意味の無い設定であったように思えます。 で、後者に関しては……そもそも本作って「家族を守るべく奔走する主人公」という、王道な筋立てなんですよね。 だから観客としては「何とか家族を守り抜いてもらいたい」と主人公を応援しながら観賞する形になる訳だけど、本作においては「ずっと昔から一緒で、父親代わりになって育ててきた妹」という、妻や息子以上に結びつきが強いように思えるキャラクターが、真っ先に殺されちゃっているんです。 それゆえに、観賞中(このまま妻と息子達を守ったとしても、妹は既に死んでいるんだよなぁ……)という事が気になってしまうというか、完全なハッピーエンドにはならない事が分かっているので、今一つ没頭出来なかったように思えます。 でもって、案の定バッドエンドを迎えちゃう訳だけど、その見せ方も意地が悪いもんだから、ちょっと褒めにくいんですよね。 主人公も無事に助かった……と思わせておいて、実は鏡の中に囚われてしまったという、捻った形でのバッドエンドなんです。 一旦希望を与えておいてから落とすという形であり、何とも後味が悪い。 妹が殺されるシーン自体は、バスタブが血塗れになるインパクト満点な死に様で、中々良かったと思いますし、クライマックスにてガラスが一斉に砕けるシーンは爽快感があったしで、長所も色々あるんですけどね。 主人公が「鏡」という存在に囚われていき、周りに不気味がられる流れなども、上手く描けていたと思います。 せめて、ラストシーンにて「自分は鏡の中に閉じ込められてしまったが、何とか妻子は助ける事が出来た」という、主人公の満足感のようなものを描いてくれていたら、印象も違っていたかも。 なかなか自分好みの光景を映し出してはくれない、ちょっとズレを感じる一品でした。 【ゆき】さん [ブルーレイ(吹替)] 5点(2018-01-22 20:16:30)(良:2票)
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