フィリップ、きみを愛してる! の ゆき さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > フ行
 > フィリップ、きみを愛してる!
 > ゆきさんのレビュー
フィリップ、きみを愛してる! の ゆき さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 フィリップ、きみを愛してる!
製作国
上映時間97分
劇場公開日 2010-03-13
ジャンルラブストーリー,コメディ,犯罪もの,実話もの
レビュー情報
《ネタバレ》  「愛」と「脱獄」を描いた映画として、非常に良く出来ていると思います。

 始まって十分程で「言い忘れてたけど、俺はゲイ」と主人公が告白し、本作における「愛」とは「同性愛」であると分かるんですが、それでも戸惑いは最小限で、楽しく観賞出来ちゃうんですよね。
 冒頭、自分を養子に出した母親との対面シーンだけでも「ジム・キャリーだからこその魅力」を堪能出来ましたし「可憐な乙女」としか形容しようのないフィリップ・モリスを演じ切ったユアン・マクレガーも、これまた素晴らしい。
 この二人が主演だからこそ「男同士のカップル」という際どい役どころでも、自然に感情移入出来た気がします。

・それまでの恋愛対象は髭を生やしたタイプだったのに、女性的なフィリップに主人公が一目惚れするのには戸惑う。
・「叫び屋」を殴らせた件でフィリップが感激しちゃうのは、違和感あり。
・ゲイの男性って、ゴルフを毛嫌いするのが普通なの?

 などなど、不可解さを感じる部分もありましたが、それらを差し引いても面白い作品でしたね。
 フィリップと出会う前の恋人であるジミーが、死の床にて「僕は生涯の恋人と出会ったけど、君は未だ出会ってない」と語り、自分の死後に出会うパートナーを大切にして欲しいと訴える場面は、特に感動的。
 作中にて「フィリップ、きみを愛してる」と告げるシーンが二回ある訳だけど、最初の場面は思い切りドラマティックに叫び「燃え上がる愛」を感じさせて、二回目の場面では「愛の終わり」を連想させるような、静かな雰囲気の中で呟かせるという対比も、凄く良かったです。

 そんな「愛」に比べると「脱獄」の方は添え物というか「フィリップに愛を伝える為には、脱獄する必要がある」という程度の描かれ方なんですが、これがまた滅法面白いんですよね。
 最後の大技と言うべき「エイズ詐欺」も良かったけれど、ハイテンポで描かれる「判事の書類を偽装して保釈させる」「刑務所内で働く医療スタッフに変装して逃げ出す」「セクシー(?)な職員に変装して逃げ出す」という三つの脱獄シーンも、同じくらいお気に入り。
 本当に、あの手この手で刑務所を抜け出そうとする様が愉快で、痛快でさえありました。

 「約束を守る」事に拘って、看守達に止められても最後まで音楽を流そうとする囚人仲間も良い味出していたし、食堂にて特別に豪華なメニューを食べる事になり、フィリップが喜んでいる場面なんかも印象的。
 ラストシーンにて、愛しい彼を忘れられない主人公が、再び脱獄騒ぎを起こし、笑いながら走る姿で終わるというのも良かったです。

 実際の「フィリップ・モリス」が主人公の弁護士役としてカメオ出演している為「決定的な嘘をつく訳にはいかない」という配慮もあってか、最終的にフィリップ側は主人公に愛想をつかしたとしか思えない作りになっているのは、悲しいけれど……
 それもまた、本作の魅力の一つと言えそうなんですよね。
 実話ネタだからこその、ハッピーエンドになりきれない切なさが、物語に上手く作用していたように思えます。

 たとえ愛を否定されたとしても、それでも求めずにはいられない男の愚かさ、滑稽さを、空に浮かんだ不思議な雲が、優しく見守っている。
 この映画に相応しい、惚けた魅力のある終わり方でした。
ゆきさん [DVD(吹替)] 8点(2018-09-14 10:09:36)(良:1票)
ゆき さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-03-01映画ドラえもん のび太の地球交響楽8レビュー8.00点
2024-02-17グリーンブック8レビュー7.97点
2023-12-26あなたが寝てる間に・・・6レビュー7.21点
2023-12-20メリーに首ったけ6レビュー6.23点
2023-11-28メイズ・ランナー 最期の迷宮5レビュー5.50点
2023-11-28メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮6レビュー4.78点
2023-11-28メイズ・ランナー5レビュー5.82点
2023-11-03魔法にかけられて6レビュー7.05点
2023-10-24キートンの蒸気船8レビュー7.78点
2023-10-19ロイドの要心無用9レビュー7.36点
フィリップ、きみを愛してる!のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS