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《ネタバレ》 「助かると思った? やっぱり殺すよ」というオチありきというか、それがやりたかっただけとしか思えない映画。
原題の「Secuestrados」は「誘拐された」という意味らしく、邦題ともども「殺人」という要素は含まれていないのもポイントですね。 だから観客としても「監禁」されるだけと思い込んでしまうし、まさかの被害者全滅エンドとは予測出来ない。 こういう陰鬱な終わり方は好きじゃないので、あまり褒める気持ちにはなれませんが、やり方としては上手かったと思います。 それは冒頭、顔に袋を被せられてた男が電話する場面も然りであり、この件って本筋とは直接関係無いんですが「人質に袋を被せる」「父親と妻や娘を引き離す」という手法からすると、冒頭の事件と本筋の事件って同一犯な可能性が高いんですよね。 つまり、その冒頭場面によって「ママが撃たれた」「でも父親と娘は助かってる」という情報を提示している為「人質は撃たれて殺される事もある」という緊張感を与える事に成功しているし、その一方で「全員殺される事は無い」というミスリードを誘う効果もあったんだから、これまた上手い。 冒頭、被害者家族が喧嘩している描写も「悲劇を乗り越え、家族の絆が強まるオチ」を連想させるし、この手の犯罪映画を色々と研究した上で、それを逆手に取った作りにしてるのが伝わってきました。 犯人の正体が引っ越し業者とか、序盤に出てきた卵の置物が武器になるとか、諸々の伏線も丁寧でしたし…… 後は何と言っても、分割画面(スプリットスクリーン)の使い方が見事。 離れ離れになってる人質二組を同時に映し、それぞれが犯人に反撃して、窮地を脱した二組が合流すると同時に、二つの画面が一つになる。 「再会の喜び」を示す上で、とても効果的な手法ですし、本作のクライマックスは間違い無く、この「二つが一つに戻る場面」だったと思います。 「三人組の犯人グループの内、凶悪だった二人は反撃を受けて殺され、唯一良心が残ってた男は金を持ち逃げする事に成功する」っていうのも、良い決着の付け方だったんですが…… そこで終わっておけば良いのに、余計な付け足しというか「実は生きていた犯人の一人に、家族皆殺しにされる」ってオチに雪崩れ込んでしまうのが、本当に残念。 所謂「最後で台無し」系の映画って事になるんですけど、それでも「最後の手前までは凄く良かった」って事も確かな訳で、こういうのって、評価が難しいですね。 自分の心の中にある、映画の本棚。 その端っこにある「どうしても好きになれないけど、これは凄いと認めざるをえない映画」って枠の中に、本作も加わる事になりそうです。 【ゆき】さん [DVD(吹替)] 6点(2023-07-11 10:27:04)(良:1票)
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