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《ネタバレ》 IMAXにて遅ればせながらの鑑賞。世間での高評価に水を差すようで申し訳ないが、結構な粗が目立つ作品だった。
この内容で7点以上の評価は付けられないと思った。 本作をよく注意してみてみると、クイーンという要素を外してしまえば、本作の物語の骨子は驚くほどありきたりなものだ。とある集団の栄光と挫折、そこからの復活。サイドストーリーには運命の恋人との出会いと別れ、家族との確執と和解まで、実にテンプレート的に盛り込まれている。映画の脚本としては、今からすると非常に陳腐な内容とも言え、そこには新鮮味もなければ深みもない。さらに言えば、クイーンファンなら即座にわかると思うが、本作では史実の順序が入れ替えられていたり、或いは誤解を招きかねない史実の省略を含んでおり、もちろん本作はドキュメンタリーでなく映画であるから仕方がないのだが、しかしそれでも、史実に対しての誠実さをあまり感じることができない脚本となっている。 演出面に目を向けても、フレディ以外の登場人物の描き方が雑。Love of My Lifeというわりにあまりにあっさり付き合い、あまりにあっさり別れるメアリーとの関係、バンドの他のメンバーのあまりに一面的な描写には、とにかく雑な演出という印象しか覚えなかった。クイーンは何もフレディ一人に依存していたわけではなく、他のメンバーの演奏能力の高さや各自が様々なジャンルの音楽を咀嚼してヒット曲を制作できる能力もあって、世界的にブレイクしたバンドであった。たとえば本作ではブライアンメイのレッドスペシャルや、ジョンやロジャーがいかに音楽的な成長を遂げて、ヒット曲を制作できるようになったのかといった部分が見事にオミットされている。結果的にフレディのみがフォーカスされて、他の人物の描写が粗雑になってしまったのでは、と思う。 とはいえ本作はあくまで映画である。限られた時間の中で史実の完全再現など出来るわけがなく、誇張や省略があってもいいと私も思う。ただし、史実の誇張や省略を含んだ映画が、それでも人の心を撃ち抜くためには、何かずば抜けた、それこそ狂気に近い域の演出や脚本や演技が必要だと私は思う。ただ残念ながら、本作でそうした部分を見つけ出すことが私はできなかった。史実への偏執的な拘りよりも映画的ダイナミズムを優先させた脚本はあまり高評価できず、演出も上述したように雑、CG合成だとまるわかりのライブエイドの映像も興ざめだし、ラミマレックの熱演は素晴らしかったものの、私が驚嘆する域までは達していなかった。フレディの振り付けは似ていても、歌唱部分は過去の音源の流用であり、これがもし彼自身で歌唱まで行っていればそれこそ驚嘆するしかなかったのだが…。 長々と書いたが、本作をまとめると映画的ダイナミクスを優先した、エンターテイメント要素の強い伝記映画ではあるものの、一方で不正確な史実の描き方や雑な演出も目立つ作品でもある。また、そうした難点をぶち破り、観客をねじ伏せるほどの狂気的な拘りもない映画である。クイーンに初めて触れる人や音楽ファンでない人たちには大満足の作品かもしれないが、ある程度目の肥えた批評家からの評価が高くないのは、本作のそうした弱点を見抜かれたからではないだろうか。 【nakashi】さん [映画館(字幕)] 6点(2019-02-02 10:56:58)(良:2票)
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