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《ネタバレ》 原作ファンです(漫画)。
主演の川西拓実氏が男性アイドルグループ・JO1のメンバーっていうのは全然知らなかったのですが、人気あるのか結構観客は多かったです。しかもわりと若い人もいて驚いたのですが、SNSで感想を呟いたらプチバズるくらいの反応があってファンの人が多いんだなと思いました。 ちょっと前の作品(2018年~2020年くらい)なので、正直、なぜいまさら実写映画化されたのかと思いました。しかし、これ昔大好きだった音楽もの漫画の一つが実写映画化された奴じゃん、じゃあ、ぜひにも観に行かないと! と行った次第です。 あと作品の位置づけ的にも面白い状況になってると思ってて、近年、音楽もの漫画が映像化される事態が頻発していて、だいたいアニメなのですが、しかもそれぞれ作品のためにストーリーに合わせてわざわざ作曲したものが出ており、音楽は気合が入ってて素晴らしく、ストーリーもよくできているという、この2年くらい日本で未曽有の音楽もの作品の映像化がレベルが上がっててすごいって認識なのですが、その中で個人的に音楽もの漫画の中でもかなり出来が良くて好きな作品が、アニメとかではなく、実写でやるっていうのがどれくらいのレベルに達してるのか、期待半分、もし外れでも原作ファンとしては見とどけなければならない、という心持で臨みました。 原作の方も漫画の音楽表現として独特の様式をしていて、音楽漫画の音の表現って、演奏してるプレイヤーの動きを描くとか、サビの部分の曲イメージを大ゴマや見開きページにでかく描くとか、曲の歌詞をベタに描くとかいろいろありますが、「バジーノイズ」は音のイメージを抽象的な、シャボン玉みたいな多数の円と、のたうつ曲線とかで描く独特の方式をしていて、シャボン玉と曲線の入り乱れる中に、演奏者と、聴衆がすごい心地よさそうな音空間で体を揺らしてるっていう、これは「バジーノイズ」がパソコンで曲を打ち込む音源もシンセや自然音のサンプリング音源なども使って作る電子音楽的曲だからそういう表現が似合ってたというのがありました。 で、今回の実写の映像化で、その独特の新しい(原作公開時には斬新だった)音空間が、実写映画の中でいかに気持ちよく表現されるか? が原作ファン的な最大の関心事だったと言って過言でないでしょう。 しかも原作では音楽家同士のコミュニケーションも描かれていて、音楽家同士のコミュニケーションって「アレコレ言葉で説明するより実際いっぺん一緒にやってみればわかる」っていう領域があり、漫画やアニメなら抽象図形で雰囲気を視覚的にわかりやすく見せたりできますけど、実写だとそういうのもないので、本当に音だけで心地よさを視聴者にわからせないといけない、それが本当にできるのか? ってのも注目ポイントと思ってました。 それで実際観た感想としては、めっちゃ鳥肌立った! すげえ! って感じで、あの清澄と陸が音合わせた時のゾワゾワ感が見事に表現されててマジで感動しました。素晴らしい映像化を実現してくれてありがとう! って思いました。 あと、配役も川西拓実氏はまさに清澄という感じで、純粋で孤独で儚い雰囲気で良かったし実際JO1でミュージシャンとして活躍してるので演奏場面のリアル感はすごく良かったし、桜田ひよりさんの岸本潮もまさに潮やあって感じで良かったです。 ストーリー内容については、全5巻の内容を2時間に圧縮するので単純化されたり端折ってたりはするけど、ちゃんと結末まで走り切ってくれるので満足できました。いくらか改変もあるけど、それも良し。 またこの作品は、ミュージシャンの話を描くんですけど、それだけでなく聞いてくれるファンのことも描いていて、それが特殊と思うんですが、ミュージシャンものって基本メジャーになって海外遠征とか行って遠くの人になってしまうと、最初の地元の地方で初めに良いねって言って応援してくれた人ってそこまでついてこれず置いてけぼりになってしまいがちなところがあると思うんですが、本作は、レーベルを介さなくてもDTMで個人で曲を作って売り出していける時代になって、最初のファンともごく身近な人として有名になっても関わっていけるという所に着地するのが好きで、そのファンとミュージシャンの関りも相似形に描いた改変になってて、あの陸の前のバンドのリーダーが、長く人生をやってる者の悲哀を感じさせつつ、しかしファンを大切にする心は忘れない結構いい人に変更されてるのが味があって実に良い改変だなあと思いました。 そんなところです。 【sim】さん [映画館(邦画)] 8点(2024-05-20 11:36:41)
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