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《ネタバレ》 3度目の鑑賞。
受験のため上京してきた7人の男女高校生。そのうち中心に描かれる男子4人が受験会場のそばで出くわした「紀元節復活反対」デモに対するシニカルな反応に、この映画のコンセプトは表れた。 彼らの念頭にあるのは性欲であり、大人たちがふっかけてくる政治の話題にはほとんど興味がない。否、興味がないというより、大人が押し付けてくるイデオロギーへの嫌悪感から、担任教師から教わった猥歌で対抗するのである。 つまり、この映画の主題は「政事」vs「性事」という人類史における「現実」との向き合い方をめぐる対立ではないか。 何しろ男子高校生たちの性欲の標的となる「469」(受験番号)の姓は「藤原」である。したがって、彼女を凌辱しつつ歌う猥歌は古代日本国家における一大権力者にして、その後の日本社会において「血筋」や「家柄」という価値観を至上のものとして根付かせた元凶に対するプロテスタント・ソングという意味が込められているのであろう。そうした精神は反戦フォーク集団の偽善的な「革命」のスローガンにも向けられる。 ことに青春のニヒリズムの権化というべき荒木一郎の存在感が素晴らしい。だが、そんな彼が同級生・金田の歌う「慰安婦」の歌の意味に真っ先に気づくという感受性を持っていたりするのが面白い。 戦後日本の「民主主義」における旧態依然さや、隔靴搔痒ぶりに対する大島渚の反抗的主張が最も色濃く煽情的に表現された作品ではないだろうか。 【あやかしもどき】さん [DVD(邦画)] 10点(2025-01-31 06:37:54)★《新規》★
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