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《ネタバレ》 ゾンビ映画なのに監督のゾンビ愛が全然感じられない。こういう自主制作っぽいので言えば『桐島…』の方がゾンビ愛あるかも。それらしい設定を適当にくっつけた、悪く言えばオイシイとこだけパクった、駄目シナリオじゃないでしょうか?
日本軍の実験って話はアリだけど、どうして西洋のオカルトに結びつけてしまったのかなぁ…ゾンビ発生の原因といえば、宇宙からの怪光線、科学薬品、生物兵器。このあたりがお約束です。 ゾンビ映画の起源はロメロ・ゾンビ。バタリアンやバイオハザードなんかもそうだけど、死人が蘇るファンタジーに、リアリティを持たせたから、今のゾンビ映画史があるのに、血で書いた五芒星じゃオカルトだよ。とてもじゃないけど映画好きの作ったゾンビ作品とは思えませんでした。 『ONE CUT OF THE DEAD』という番組の裏側から、日暮監督が、映画好きの延長ではなく職業監督になってしまった理由が観えてくる。元女優の奥さんは役に入りすぎるため引退を余儀なくされ、映画好きな娘はこだわりが強すぎて撮影現場をクビになる。妥協に妥協を重ねて続けてきたであろう、今の監督の仕事。職業監督は自分の“好き”を入れちゃ駄目なんですね。 イケメン俳優に自分で「作品の前に番組なんです」って言っていたのに、カメラが回ると「これは俺の作品だ!」ってアドリブ。最初の鑑賞では笑えて、複数回鑑賞後はアツいものを感じました。 このシーンをカメラ(モニター)越しに観ていた真央は、きっと神谷くんだけを観ていたんでしょう。あんな熱演を終えて戻ってきた父にも素っ気ない。 こんなどうしようもない作品の中で、監督は何故か五芒星にこだわりました。思えば本当のゾンビの起源はブードゥー教=オカルトなんですよね。日暮監督はゾンビ映画好きのお約束を敢えて入れず、コッソリとオリジナリティを入れようとしたのかもしれません。 「日暮さ~ん。作品の前に、番組なんです」機材の故障で、オチをアッサリ捨てるプロデューサーに、食って掛かる日暮監督。普段の父を知っているだけに、驚いてる真央の表情がイイんだこれが。父の番組なんてチャンネル変えてしまうくらい、どうとも思っていないのに、カメラには映らないところで繰り広げられる作品への情熱。真央が考える“戦場”で戦っている父の姿。 愛を感じないゾンビ映画の裏側に、息を殺して潜ませた監督の作品愛。トラブル続きの中、どうにか完成させるために奔走するスタッフ。そして最後に父を支えた家族愛。事前にオチを知る事もなく、また期待が高まり過ぎることもなく、無事、上田監督が観せたいものを観ることが出来ました。心から笑えて、ほっこり出来ました。そして『私は映画が大好きだわ』って、再認識出来ました。 【K&K】さん [映画館(邦画)] 8点(2024-04-10 23:58:47)(良:1票)
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