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社会人になって何年目かの休日の前夜でした。彼女のいない私はいつものように映画館に行きました。予備知識も先入観もなしにこの作品を観た記憶があります。確かにヴァンゲリスの音楽、浜辺を走る映像は印象的でしたが、主人公の一人が競技中に転倒し起き上がって走るシーンはより強く印象に残っています。そのとき一切の音が無くなり、脚が大地を蹴る力とスピードだけが描写されたように記憶しています。人間が呼吸を止めて風神に化身したような凄みがありました。ラスト、主人公二人のその後が字幕されますが、このような作り方に感動してしまう私はもちろん目頭を熱くしてしまいました。後先のことを思い煩うことなく今、ここで自分らしく燃焼する一瞬。その一瞬一瞬が永遠につながるのだろうなどと自分の感想を持ちながら場内の照明がつくまでスクリーンを観続けていました。休日明けの職場内、書類を抱えてあたふたと通路を走る私の姿に同僚が「炎のランナー」のタイトル曲を口ずさんでくれたものです。
【天地 司】さん 7点(2003-06-15 15:03:43)
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