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ほぼ全編を雨で彩ったLAから、ラストは雨にも見放されたような荒野での結末。鬱陶しい雨が、それでも神からの恵みであるのなら、枯れ果てた荒野での結末との対比は、見事。また、若手刑事の功名心や向こうっ気の強さと、老練刑事の人生の諦観や現場への未練の対比も、また見事だ。ラストは、製作側もサマセットに撃たせるか、ミルズに撃たせるかで揉めたというが、それまでの伏線を思えば、あのラストでなければ映画が終わらないだろう。ダンボールの小包の描写は、「ヒッチャー」を思わせる無気味さを漂わせるが、この段階で、ミルズが犯人を殺すなという推測が出来るので、それ以外では不自然になる。いずれにしろ、いかにもキリスト教圏の映画だし、「衝撃のラスト」「結末はあまりにインモラル」という評も、いかにもキリスト教圏の評。仇討ちを是とし、覚悟の散華を美徳としてきた、そんな種族的記憶がまだある日本人にとっては、どちらかというと納得のラストだった。この後、あちらは陪審員制なので、状況的にいっても、ミルズは無罪になるだろうなぁ。それどころか、黒人刑事に非難が集中するような気がする。「何故もっと必死に止めなかったのか」「白人に罪を犯させたかったのか」なんて。もっとも、それがまた、ミルズを絶望に落とすんだろうけど・・・。ラスト、犯人を射殺するまでのブラピの葛藤は、出色である。
【Y-N】さん 9点(2002-10-03 03:13:25)
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