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石原裕次郎特集の一編としてダメな映画ばかりに挟まれての鑑賞(通算3度目)だったので、余計に面白く見ら れました。と・に・か・く、この時代の日活産のプログラムピクチャーのタグイといったら、脚本からしてどうにもデタラメな映画ばっかりで、今回の特集でも『陽のあたる坂道』と『赤いハンカチ』を除いたら見るんじゃなかったってなものがだいたいだ。そこへいくと同じ日活でも、川島雄三の、いや、日本映画の最高傑作のひとつと言ってもいいこの珍妙な時代劇は、なにより、出てくる俳優がみなイキイキとしていて誰ひとりとして素晴らしい。南田洋子も岡田真澄も芦川いづみも、二谷英明ですら(笑)、それぞれがそれぞれの代表作とも言えるくらいに。裕次郎だっていつものような当たり前のようにあてがわれた主役ではなく、大勢の登場人物のうちのひとりに甘んじている(?)にもかかわらず、すこぶるカッコイイのだ。言うまでもなく、豪奢な二階建旅館を建築した美術班をはじめ、スタッフ陣も揃っていい仕事をしている(黛敏郎の音楽もおっもしろいぞ~)。岡本喜八を“人徳の監督”と評したのは誰あろうぼくだけど(笑)、川島もそんな周りの優れたスタッフや俳優たちに恵まれ、慕われた監督だったのだ。同じ川島作品なら『青べか物語』『女であること』同様、これからも映画館でかかるたびに足を運ぶことになるだろう。なお点数は、有名な逸話→会社側の反対で結末が思惑通りにならなかった、の無念さを考慮して1点マイナス、ということで。
【茶蟻】さん 9点(2003-07-18 23:27:23)(良:2票)
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