3.《ネタバレ》 特別、ヤマトファンというわけでもないのだが、いかんせんあのメインテーマを聞くと昭和の心がうずきだし妻を伴って劇場に足を運ぶことに。レイトショーで観賞したのだが、いやはや何と年齢層の高いこと。それもご夫婦の多いこと。若い人の姿などちらほら程度である。第1作目を青春ど真ん中で経験された方々なのだろうけれど、今作であの当時の興奮をもう一度味わうことが出来たかというと、残念、スマートすぎた。結論から言うとあの戦艦はヤマトでなくても良いのでないか。ヤマトに固執するその意味が全く持って不明である。スマートだと表現したのは、もちろんヤマトの造形的なもの、CGを駆使した宇宙戦のこともあるのだが、ストーリーの根底にヤマト特有の(私だけが持っているものなのかも知れないが)悲愴感、使命感が全くない。地球の為に精一杯、ぎりぎりの力で、ぎりぎりの戦略と知恵で敵に挑むということが全然ないのである。
これではヤマトではない。昭和くさいことかもしれないが、最強戦艦ヤマトが見たいのではなく、傷つきながらも必死で地球を守る姿が見たいのである、地球を背に宇宙を漂うヤマトは力もある勉強もできる優等生だ。優等生の戦いには情熱は感じられない。確かに激戦を経て成長した古代進の手腕は光るものがあるだろうが、どうにもしっくりこないのだ。バタくさくても、泥臭くてもなんかこう洗練されていない点がヤマトの魅力だと思うのだが。でも、厚い氷をぶち破り発進するシーンではあのテーマ曲と相まってそれなりの興奮はあったのだが、それだけなのである。あと、映画の最初のクレジットで原案石原慎太郎と出た時には、劇場内がほんの一瞬どよめいた。これはどういうことなのだろう。一番印象に残ったことではあるのだが。