4.さて三部作の第2作は、吉岡一門との果て無き闘争、そして小次郎との出会い。ちょっと「おやっ」と思わせるのが、一乗寺における最終決戦の相手が、吉岡清十郎だということ(つまり清十郎が重傷を負う決闘は省略され、三十三間堂における伝七郎との対決が先に行われる)。この構成が意外にスッキリしていて、なるほどこういう描き方もあるなあ、と。ただし、清十郎の悲劇性(さらにはアワレさを伴った吉岡一門の「敗者の美学」みたいなもの)は、その分、薄れている気もしますが。いずれにしましても、大勢の敵を相手に一大バトルを繰り広げる宮本武蔵の姿、三船敏郎の真骨頂ですな。
さて本作、カラー作品らしさが生きていて、「かむろ」というのか、あの少女の赤い着物なんか、とてもよく目を引きますし、小次郎のイメージカラー(と言っていいのか)の青色なども印象的で、カラフルに仕上がってます。ただ、小次郎役の鶴田浩二の白塗り顔が、若干、バカ殿っぽくもありますが・・・