1.旗照夫のシャンソンが流れて始まる。落とした定期券から、銀座のブティックをめぐる人間模様の話へ広がり、合い間に学生小沢昭一が笑いをとっていく。銀座の記録としては、火の見やぐらから火事を発見するシーンがあった(火事のシーンは、特殊技術がなかったせいか消防法がうるさくなかったのか、結構迫力)。まだ靴みがきの子どもがいた(みがくシャッシャッという音がドラムの、あれ何て言うの、さきっぽが金属の小さなほうきみたいになってるヤツ、あの音になっていく)。中原早苗のことを子どもたちがパン助みたいな格好だと言った。昭和30年代前半はまだまだ濃く“戦後”であったのだ。そして銀座という街が、単なる背景でなく、こういう人間模様を織りなすのに適した場所であったのだなあ。