1.《ネタバレ》 石原慎太郎の演技は巧いとはお世辞にも言えないが、本作の役柄に一番必要な「熱意」というものが十分発揮されていた。
そういう意味では、主演をそれなりに演じきっていたのではないだろうか。
『非情都市』にリンクした内容で、ちょうど主人公である新聞記者の若かりし頃を描いた様な内容である。
石原慎太郎は、非情なまでに新聞記者としての仕事に徹する男を演じていて、一種の狂気を本作は表現している。
報道の自由、新聞の客観性、真実の暴露といった新聞記者としての使命に没頭するあまり、“危険”な英雄になってしまうといった内容で、主題がはっきりしているし、結構楽しめた。
新聞記者として暴走するあまり、誘拐された子供の命を、間接的にとはいえ奪ってしまったことに対しても、全く悪びれない。
ここまで仕事人間だと、逆に観ていてスッキリもする。
とは言っても、こんな人間が身近にもし居たら、たいそう迷惑だろうけども。
時に人間は仕事に没頭するあまり、危険な道に入り込む可能性があることを示唆した作品で、仕事人間とはおよそ言えない私が観ても十分楽しめる作品だった。