2.これはバーグマンでは無理な映画。アンナ・マニャーニの一人舞台。第一話は、ちょっと感情露出が派手目かなと思うところもあったが、第二話とのセットで女優の凄味を分からせる。この監督は長い話に興味がないらしく、いつもエピソードの連鎖になるが、これは堂々と最初から二つの話と割り切っている。個人的には第二話に堪能。何かを切実に求めて走り回るってのは『ドイツ零年』の再現で、迫害とからかい。丘の上の修道院(清浄さ)への憧れ。第一話の閉じた愛から、こっちは開かれた神々への愛、子への愛となる。丘の上まで追い詰めていく、というか追い上げていく力が圧倒的。もともと斜面てものがエネルギーを蔵しているんだな。冒頭も山羊の斜面で始まっていた。フェリーニが出てくるのも楽しい。私が観たのでは空き缶が階段を落ちるカットが繰り返されたが、あれは斜面のモチーフの変奏で深い意図があるのか。単なる編集ミスだろうと思うんだけど。