1.20年以上に渡って細々と続いている本シリーズですが、今回でまさかの4作目に突入(他にTVMとして制作された『Ⅱ』『Ⅲ』がありますが、これらはシリーズにカウントされていない模様)。第1作の生みの親であるローランド・エメリッヒもマリオ・カサールも遠の昔にシリーズを去り、ヴァンダムが半ば私物化していた本シリーズですが、ここに来てまさかの主役交代。スタントマン出身で今もっとも動ける男・スコット・アドキンスが新たな主人公・ジョンを演じ、「俺が俺が」のヴァンダムは脇役に徹しています。この世代交代が吉と出るのか凶と出るのかが鑑賞前の最大の関心事だったのですが、嬉しいことにこの交代によってシリーズは見事な若返りを果たし、B級アクションとしてはかなりのレベルに達しています。ジャンルに関心のない方までを振り向かせるほどの傑作というわけではありませんが、こういう映画がお好きな方であれば、概ね満足できる仕上がりではないでしょうか。。。
舞台となるのはユニソルが普及し、闇の世界で多用されている世界。設定上、第一作以外はなかったことにされるという平成ゴジラ的な強引さには呆れ返ってしまいますが、シリーズに係る予備知識がなくても話に入り込める親切設計だと考えれば、これはこれで有り難くもあります。本作でユニソルを使用しているのはFBIであり、軍事アクションだった過去作品と比較すると全体の雰囲気がかなり変わっています。見せ場は銃による派手なドンパチから刃物を使った凄惨な殺し合いにシフトし、スプラッタホラー並の血糊が飛び散る修羅場と化しているのです。予算に見合う小さな舞台に設定し直したことで個々の見せ場のクォリティは驚くほど向上し、肉体と肉体のぶつかり合いを基礎としたことでアドキンスによる勢いのあるアクションが活かされまくっています。ラストの長回し大殺戮などはメジャー映画にも引けを取らない完成度であり、本作の監督を務めたジョン・ハイアムズ(ピーター・ハイアムズの息子)は、今後要注目の監督になるのではないかとの期待を抱きました。。。
登場場面は少ないながら、ヴァンダムも光っています。何かとバカにされがちな御大ですが、この人は決して演技が下手ではないので悪のカリスマ役が意外と様になっているし、アドキンスとのタイマンではいまだ現役レベルの動きを披露しています。50歳過ぎてこの動きができるのかと驚いてしまいました。