1.パワフルに迫ってくるソフィア・ローレン。
そしてそんな彼女に振り回されるマストロヤンニ。
これはもう、あまりにもお馴染みのこの2人の姿。
デ・シーカの「昨日・今日・明日」や「ああ結婚」など、
イタリア映画の伝統芸とも言える艶笑喜劇でおなじみの名優にして盟友の2人。
本作でも鉄板の安定感でとても楽しい掛け合いを見せてくれます。
この2人のこのパターンの映画は何本見ても全く飽きが来ない楽しさがあります。
昼は教会の学校で教師をつとめ、夜は”命の電話”の相談員をつとめる、
典型的堅物のマストロヤンニ演じるドン・マリオと、
”命の電話”に電話をかけてきたことがきっかけでローレン演じるヴァレリアの2人が互いに惹かれあうのですが、
ドン・マリオのカトリックの伝統に縛られた神父さんという立場が作品をとても面白いものにしています。
マストロヤンニは終始神父さんの黒い服と黒縁眼鏡の地味な衣装。
それだけにゴージャスなローレンが頻繁に着せ替えを見せてくれるカラフルな衣装が作品の中でとてもよく映えています。
巨匠トロヴァヨーリの音楽も相変わらず素晴らしい。
この2人が主演で、キャスト以外にもイタリア映画界の大物が顔を揃えるイタリア映画でありながら、
なぜか英語であることだけが残念。やはりこんなイタリアン・コメディには、
「ボンジョルノ!」といったイタリア語の響きが似合うと思うのですが・・・。