1.《ネタバレ》 『艦これ』、元のスマホゲーは以前DLしたものの、サーバーが混雑していて入れない状態がずっと続いて、ハラ立ってさっさと削除っちゃったのでプレイしていません。今回の映画、ツイッターとかcocoとかによると「テレビシリーズよりはずっとマトモ」だそうで、映画版でコレじゃあテレビ版は一体どんだけ酷かったんだ?っていう。
この映画版、『艦これ』のどこが魅力なのか、どこが売りになる部分なのかが全く描かれておらず、背景の説明も全く無く、ただ状況が描かれるばかり。大海原を舞台にしながら、その世界は極めて狭く小さいです。何しろ「何か」と海で戦っている数十人の少女達だけで完結している世界ですから。舞台も拠点となる海岸と海しかありません。世界の成り立ちも少女達のそれまでの生も何も描かれず、ただ海で戦わなければならないという刹那的な状況があるだけ。
それでも一応、後半になると「物語」が動き出しますが、それがどっかで見たようなハナシで(ハッキリ言っちゃえば『まどマギ』ですな)、観念的世界に入り込んで自己満足的自己完結ワールドでケリ付けちゃうという、甚だ迷惑なタイプの(しかし、よくある)アニメでございまして。
キャラがそれぞれシリアスになればなるほど個性分けができなくなってゆく感じで、お姉さんタイプか、妹タイプか、その中間か、くらいの分類がせいぜい(しかも単純に上官か否か、体が大きいか小さいかで見分けるような)、誰かに愛着を持てるようなエピソードも無く、小隊に分かれて別々にエピソードが描かれたところで誰がどこに所属しているから物語的にどうだ、という違いが判る訳もなく(もちろん主人公的存在が中心に存在しなければならないのだけは確かですが)、そもそも地理が描かれない(イマジナリーラインめちゃくちゃ)ので戦況の把握も不可、と。海戦モノは地理描写が重要だと思うのですけれど。
魅力ある個性的な戦闘シーンが描かれるという訳でもありませんし(実のところ、ああいう武装少女モノって『プロジェクトA子』あたりのクラシカルなセンスね)、見てて「あー、困っちゃったなぁ」って感想しか抱けない状態で。
世界と断絶した閉塞的な作品として、今の萌えアニメを象徴する典型としてのサンプル的な価値はあるのかもしれませんけれど、そんなネガティブな存在価値なんか無い方がマシではあります。