2.《ネタバレ》 貧しいアフリカ諸国からやって来る移民と、そこにある問題。
近年、このテーマのフランス映画を見かける機会が増えてきているように思います。
去年に映画館でみた「サンバ」という映画もそうでした。
主人公の女医。診療所のベルが鳴るが、もうとっくに診察時間が終わっているからと応じなかった。
ベルを鳴らしていたのは、アフリカ系移民の少女。翌日、遺体で発見される。
「あの時、ドアを開けていれば・・・。」
危険を冒しても貧しい祖国を捨て海を渡らざるを得ない人々がいる。そんな人々に対しドアを閉じてしまうのか。どうするのか。
ドアを開けておけばいいという単純な問題ではないだけに難しい。非常に重い問いかけを含むドラマ。
彼女は誰なのか?女医は彼女の画像を町の人々に見せながら聞き込みを続ける。
そこで出会うフランス人たちの様々な反応は、今のフランスのこの問題に対する反応を反映しているのか。
優秀な医師である主人公の女医と、研修医の青年の価値観の違いからくるすれ違いも印象的。
ことの真相を追及していく過程で、医師としての価値観に変化が生じ成長していく様も丁寧に描かれています。
音楽が全く使われておらず徹底的に地味な作風になっていますが、なかなか見ごたえのある人間ドラマでした。