<ネタバレ>田中絹代、山田五十鈴、高峰秀子に杉村先生と若手の岡田茉莉子。 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>田中絹代、山田五十鈴、高峰秀子に杉村先生と若手の岡田茉莉子。そして凄まじい存在感を放っていた栗島すみ子って何者だ?、と思ったら、サイレント時代の大女優か、なるほど。よくこれだけの女優を集められたものだ。豪華な共演の数々を見ているだけでも楽しいが、そこは成瀬映画、これだけで終わるはずはない。本作の舞台となるのは芸者置屋、そこの女主人つた奴を中心とした物語だが、芸者というやや特殊な世界にあって、普通の人(梨花)をつたと並ぶ主人公にした効果が最後の方で現れる。置屋を買い取ったお浜から「芸者屋はやめて小料理屋を始める」と告げられていた梨花が、まだ何も知る由もなく三味線の稽古に励むつた奴、染香を見る目。それはこの映画を観ている者の目そのものだったはずだ。引き抜きの誘いを断ったのも、自ら去っていくのも梨花らしい行動である。梨花は彼女たちを救う事はできないし、今のところかける言葉もないだろう、ただひとつ、あのお饅頭に込められた思いだけで自分は胸がいっぱいになるし、素晴らしい映画を観たと思えるのだった。8点献上。