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<ネタバレ> 当時の人種差別の実態を、きっと誇張することなく描いているであろう作品。
富も名声も手に入れたピアニストでさえ差別の対象だったというのが興味深いです。
行く先々で歓迎されながらも、トイレは別、控室は物置、演奏するホテルのレストランすら入店拒否とは、当時の差別意識がいかに根深いものだったかがよくわかります。
この映画は、伝記的かつ教科書的な側面を持ちながらも、ちゃんとエンターテイメントとして楽しませてくれます。
何がすごいって、大きな山場はそんなにないのに、なぜか『感動』『カタルシス』『多幸感』を感じられちゃうことです。
黒人だけれど教養、富、名声を手に入れているドクター・シャーリー。
教養も富も名声もないけれど、温かい家族がいる白人のトニー。
最初は相反する二人が、いつの間にかお互いのことを信頼し始め、足りないところを補い合う関係性がとても良かった。
警官から理不尽に逮捕され、バーに行けばからまれるシャーリー。なぜなら彼の肌は黒いから。かと言って、育ちの違いのせいか身なりのせいか、黒人の輪にも入れないシャーリー。雨の中車を降り、『白人でも黒人でも男ですらない私はどうしたらいい』と訴えるシャーリーの言葉が胸をうちます。
そんなシャーリーにとって、トニーは初めて自分を孤独から救ってくれた存在なのかもしれないですね。
終盤、シャーリーが黒人たちのバーで演奏するシーンや、トニーの家にやってきたシーン。
ずっと孤独だったシャーリーが、ついに世界に自分の居場所を見つけ始めたところで幕を閉じます。
なに、この幸せな余韻。名作です。[良:4票]