<ネタバレ>これは公開時に映画館で見たが、冒頭のトンネルの場面で近くにい .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>これは公開時に映画館で見たが、冒頭のトンネルの場面で近くにいた幼児が怖い怖いと言い出し、仕方なく母親が飲食物を持ったまま外に連れ出したのが記憶に残っている。大人なら怖くないと言いたいところだが、そのあと海の向こうから得体の知れない船が近づいて来る場面では、自分も怖くなって腰が浮いてしまった。やはり劇場で見る迫力は違う。
それで全編を見ると舞台設定の面白さは当然として、とにかく映像から受けるインパクトに圧倒される思いだったが、一方で話の意味がわからないため気持ちの収まりがつかなくなり、帰ってから解説本などを読みあさる結果になってしまった。監督が当時これを子どもに見せるために作った、と言っていたのも意味不明で、せっかくアニメとして純粋に面白いのだから、妙に小難しくして混乱させるのはやめてもらいたい、というのが初見時の実感だった。
しかし公開から時間が経つと、監督が何を言ったかというようなことはもうどうでもよくなり、大人も子どももそれぞれの立場から勝手に味わえばいいのだという気もして来た。今の目で見れば、年齢に対応した子どもの心境の変化のほか、子どもを取り巻く不健全な環境や、子どもから見た大人の複雑さといった内容が詰め込まれているように思われる。クモオヤジは茶化して「愛」などと言っていたが、初めて純粋に他人のために何かしたいと思いつめたのは大事なことだろうし、また本来一人の人物が持つ“理性”と“本能(我欲)”を分離した上で、それぞれがさらに多面性を持ったものとして外部に表出される描写は、分析的すぎるようでもあるが面白いといえる。
ほか特に海の映像が美しく、湯屋の廊下から見える海原や、海面を渡る電車から踏切に立つ人影が流れて見えるなどは非常に印象深い。こういうのはもう理屈など関係ない。[良:1票]