<ネタバレ>そこでは最後に残された唯一の希望さえ、今にも消え去ろうとして .. >(続きを読む)
<ネタバレ>そこでは最後に残された唯一の希望さえ、今にも消え去ろうとしていた――。謎の伝染病が蔓延し人類の大半が狂暴な化け物〝ハングリーズ〟と化した近未来。人々は強固なフェンスを張り巡らせその中で何とか身の安全を確保していた。軍部が管理する完全に外部と隔離されたその施設内で暮らす11歳の少女メラニーもまた、深い絶望の中に生きていた。彼女をはじめとする十数人の子供たちは常に独房に監禁され、外へと出る際は完全拘束された状態でしか許されなかった。何故なら彼女たちもまた謎の病原菌に汚染されているから。そう、彼女たちは〝ハングリーズ〟でありながらも思考能力を残している新種なのだ。彼らこそワクチン開発の決め手となるかも知れない唯一の希望だった。だが、優秀な科学者のもともう少しで人類の未来を取り戻せそうになっていた矢先、とうとうハングリーズたちによってフェンスが破られてしまう……。滅亡の危機に瀕したそんな未来社会で、明日の光を求めて彷徨う人々を描いたサバイバル・スリラー。といういかにもベタな設定の典型的なB級ゾンビものだと思って観始めたら、意外や意外、なかなかしっかりとした内容でけっこう面白かったです。特にこの人々がゾンビ化する謎のウィルスの発生源がある種のキノコというのは良いアイデアですね~。最後、このゾンビたちを栄養源としていた菌が発芽し、巨大なキノコとなって今にも胞子を撒き散らそうとしているというシーンは絶望感マックスで大変グッド。それに、大量のゾンビたちが徘徊する世界でのアクションもちゃんとツボを押さえていてなかなか楽しい。主人公であるメラニーも保菌者なので、いつゾンビ化してもおかしくないというのも緊迫感があって良かったです。ただ惜しいのは、ここまで徹底的に考えられた設定で始まったお話なのに、後半から徐々にその設定に綻びが出ちゃうところ。まず、日中立ったまま寝ている彼らの近くで間違って音を出しちゃったのに、それに気づくゾンビと気づかないゾンビがいるというのはおかしい。後半、普通に思考能力が残った子供ゾンビが急に出てくるのですが、彼らの存在に一切説明がなかったのも残念。ここら辺の脚本上の詰めの甘さをもう少し何とかしてほしかったかな。とは言え、最後のパンドラの箱の暗喩もばっちり決まってたし、絶望的な世界観もしっかり作り込まれていたし、主人公もけっこう魅力的だったしで、まずまず満足の内容でありました。