<ネタバレ>2049年、突如として発生した謎の現象により、地球は急速に滅 .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>2049年、突如として発生した謎の現象により、地球は急速に滅亡へと向かっていた。逃げ惑う人々はなすすべもなく犠牲となり、三週間後にはほんの一握りの人々を除き、人類はほぼ死に絶えてしまう――。北極圏の小さな天文台に取り残された年老いた科学者もまた、絶望の中に生きていた。過去の思い出だけを慰めに、酒に溺れ、孤独に死を待つだけの日々。そんなある日、彼は宇宙の彼方からとある交信を受ける。なんと何年も前に木星の衛星へと旅立った宇宙船が任務を終え、今から地球へと帰還するというのだ。「今、戻ってきても地球には何もない」。すぐさま宇宙船へとそう知らせようとする老科学者だったがこちらからの交信はまだ向こうには届かず、しかも汚染された空気はもうそこまで迫っていた。ここよりさらに北に向かったところにある観測所に行けば、何とか宇宙船へと知らせることが出来るかもしれない。老科学者は、同じく生き残った口の利けない少女とともに天文台を旅立つのだった。だが、そんな二人に自然の猛威は容赦なく襲い掛かってきて……。終末を迎えつつある絶望的な世界の中で、ただ人類の未来のためだけに苦難の旅を続ける老科学者を描いたサバイバル・SFドラマ。監督・主演を務めるのは、もはやハリウッドの重鎮となったジョージ・クルーニー。という訳で、けっこう期待して今回鑑賞してみました。なんですが、うーん、正直どうなんでしょうね、これ。世界の破滅の原因となった事件を一切描かないというのは明らかに意図したことだとは思うのです。なので本作のテーマが、この生き残った老科学者の内面描写を中心とした哲学的なものになるのは必然。ところがこの肝心の人間ドラマが一向に面白くならない。きっとSF版『老人と海』のような究極の孤独なサバイバルを描きたかったのでしょうけど、それならこの口の利けない少女の存在は明らかに邪魔。かといって、この二人の絆がテーマになるのかと思えば、それも一向に深まっていかない。これではなんとも中途半端と言わざるを得ません。少女の秘密が明らかとなる最後のオチに至っては、なんだか取って付けたようで肩透かし感が半端ありません。と、明らかに欠点ばかりが目に付く本作なのですが、それでも僕はそこまで嫌いではないんですよね、これ。けっこうお金が掛かっているであろう宇宙船内の描写はスタイリッシュで洗練されていて、対照的に吹雪が吹き荒れる地上の描写は何処までも荒々しい。この二つのシーンが交互に展開される中盤はなかなか迫力があって、画的には普通に観ていられました。それだけにもう少しストーリーを頑張って欲しかったです。惜しい![良:1票]