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タイトル名 |
カフカの「城」<TVM> |
レビュワー |
R&Aさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2007-06-29 12:22:01 |
変更日時 |
2007-06-29 12:22:01 |
レビュー内容 |
カフカは「変身」と「ある戦いの記録」しか読んでないので、はっきりとは言い切れないのですが、実に良くカフカの世界観が映像化されているんじゃないだろうかと思った。城がすぐそこにあるのに辿り着けないという、一見あり得ない理不尽な設定が、いつのまにか受け入れられているという不思議な感覚、そして全体を覆う不安感がお見事。原作が未完だからって映画までぶちっと終わらせちゃうのは作品の世界観に浸っていただけにどうかとも思ったが、未完の部分を創作して物語が成立してしまうと、もうそれはカフカではなくなってしまうわけで、なぜならカフカは作家として生計を立ててはおらず、でもまぎれもなく本物の作家、つまり書くことそのものが目的であったという稀代の作家であったわけで、多くの未完の作品は物語が未完であるにすぎず、作者の中では完成されているんじゃないだろうかと思ったりする私にとっては、やっぱりこれで良かったのかもとも思ったりする。もちろん映画は別物で、独自に拡がりを見せても全く構わないのだが、ハネケはとにかくカフカの作った世界を忠実に再現したかったのではないだろうか。原作を映画的に見せる、というのではなく、原作を、原作の持つ魅力や端々に見て取れる作者の思想や精神といったものも含めて映像化する。ここにハネケらしさは無く、作家主義映画からは遠くに位置するが、試みは成功していると思うし、頭の良い人でなければ出来ない作品だと思った。(原作未読のくせに、、) |
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