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タイトル名 |
死んでもいい(1992) |
レビュワー |
R&Aさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2011-11-11 15:43:43 |
変更日時 |
2011-11-11 15:43:43 |
レビュー内容 |
オープニングで雨が降り赤い傘が印象的に登場したとき、同じ名美の物語である池田敏春『天使のはらわた 赤い淫画』を想起した。そしてやはり名美の物語、相米慎二『ラブホテル』でかかったもんた&ブラザーズの「赤いアンブレラ」がよぎる。どこかモノクロに近いくすんだ色合いの画面に映える赤。傘を持つ女と男の間に「死んでもいい」と赤いタイトルが浮かぶ。この一瞬がものすごくかっこいい。完璧な構図と配色で見せるほとんど動かない(スローモーション)画はまるで石井隆の漫画のようだ。石井隆はこれまで名美の物語を他人に語らせていたがこの作品で初めて自ら語ることとなる。タイトルバックのセルフオマージュのごとき劇画調とそこにいくまでの鬱陶しいくらいの映画技法の嵐にその並々ならぬ意気込みを見る。しかしこの映画の名美は他の作品の名美とはどこか毛色が違う。なんたって陵辱されない。それでもラスト、名美が何も言わずに涙を流したとき、その顔は「堕ちた」ことを知り「堕ちた」ことを受け入れたように見えた。まさしく堕ちてゆく女・名美の物語であったのだ。しかもその瞬間を切り取り静止させて映画は終わるのだ。残酷な様を美しく切り取る。石井隆の真骨頂。 |
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