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タイトル名 |
血を吸うカメラ |
レビュワー |
かっぱ堰さん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2018-09-01 16:26:41 |
変更日時 |
2018-09-01 16:26:41 |
レビュー内容 |
最初の街娼が2ポンドで、次の卑猥な写真が4ポンド10(シリング)だったのは、生の実物よりも映像化した方が商品価値が上がるという意味に取れなくはない(素材の質や感染症のリスクは関係するだろうが)。またグラビアのモデルが殴られた跡を消してくれと頼んでいたことからしても、序盤では写真(や映画)の特性や効用を表現しようとしていたように見える。 また劇中映画の現場では、コメディがなければと劇中監督が宣言した後、実際にかなり笑わせる出来事が頻発する(さりげなく持つ、主演女優が逃げた、あれは監督だ)。序盤で出ていた映画会社の社長?の言動も含め、何か映画というものを茶化してみせていたかのようでもあるが、そういったことがどのように全体のテーマに関わっていたのかはわからなかった。
最終的に本筋だったのは、幼少時の心の傷が原因で異常な性的嗜好を持ってしまった男の話だったらしい。その話題自体は現在では珍しいともいえないが、しかしこの映画ではヒロインが最後まで主人公に対する好意を失わなかったのがかなり都合のいい設定に思われる(母性本能をくすぐる男だったのか)。またヒロインの母親までが主人公に更生の機会を与え、それで本人も一度はその気になっていたというのは、基本的なところで人の本性が善なることを信頼した映画に見えた。この映画は公開当時、メディアから袋叩きにされて「映画界の恥」とか言われたそうだが、これほど良心的な映画にそう言うのであれば、大衆の欲求通りに俗悪映画を作って恥じない現代の映画業界など廃絶せよと言わなければならなくなる。 ちなみに主人公が熱意をもって取り組んでいた映像作品に関しては、なるほど殺人事件をドキュメンタリーとして撮ったものはなかっただろうとは思ったが、これが今後の新たな可能性を示したものとして捉えることもできない(関係者インタビューでは単純に「スナッフフィルム」と言っていた)。いろいろ思うところはないでもなかったが、結局全貌が見えた気がしないままで終わる映画だった。
ほかキャストに関して、主演のカールハインツ・ベームは有名な指揮者のカール・ベームの実子だそうで、劇中の姿だけではわからなかったが、関係者インタビューで2005年当時の顔を見るとなるほど雰囲気は似ているかとは思った。またヒロイン役の人は美形とは全くいえない容貌だが、なかなか愛嬌のある女優さんで好きになった。 |
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