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タイトル名 |
500ページの夢の束 |
レビュワー |
かたゆきさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2020-02-18 22:39:07 |
変更日時 |
2022-05-20 08:58:57 |
レビュー内容 |
彼女の名は、ウェンディ。何処にでも居るような平凡な女の子。でも、一つだけ人と違うことがある。それは人と話すのが大の苦手で、自分の思い通りにならないことがあると思わず“かんしゃく”を起こしてしまう困った癖を持っていること。そう、彼女はいわゆる自閉症なのだ。唯一の肉親である姉の結婚を機にウェンディは福祉施設で暮らすようになり、今はパン屋さんで働き自立している。でも、本当の願いは思い出がたくさん詰まった自分のお家に帰ること。そんな折、姉の勝手な判断で大切なお家が売却されてしまうことを知るのだった。到底納得いかないウェンディはまたしてもかんしゃくを起こしてしまう。食事が喉を通らないほど落ち込んだ彼女が、考え込んだ末に思いついた解決法。それは、映画会社が主催する、自分の大好きなテレビドラマ「スタートレック」の脚本コンテストに応募し、賞金10万ドルを手に入れることだった。寝る間も惜しんで書き上げた500ページにも及ぶ原稿はすでに完成してある。だが、締切は明後日。とてもじゃないが、今から郵便局に預けにいってては間に合わない。仕方なくウェンディは、たった一人ロサンゼルスへと向かうバスへと乗り込むのだった。愛犬のピートを相棒にして――。自閉症と言う個性を抱えた一人の女性が、自らの夢を叶えるために遠く離れたロサンゼルスまで旅する姿を描いたロードムービー。前作で、障碍者と性と言う難しい問題をあくまで軽く爽やかに描いたこの監督らしい、ほのぼのとした空気に包まれた心温まるお話でしたね、これ。とは言ってももちろんキレイごとばかりではなく、当然そこには障碍のある人の生き辛さや家族の葛藤、世間の無関心やそんな弱者を食い物にする悪人の存在もちゃんと描かれる。でも、そこまで深刻になる一歩か二歩手前で引くこの監督の絶妙な匙加減は見事としか言いようがありません。特に居なくなった彼女を追って奔走する、トニ・コレット演じる施設職員には好感持ちまくりです。バスの運転手や医者、融通の利かない映画会社の事務員など嫌なやつも沢山出てくるのですが、それ以上に彼女のような魅力あふれる人々がいっぱい出てくるのがとてもいい(宇宙の言葉を突然話し出す、あの警官マジサイコー!)。そう、どんな人にだってちゃんと手を差し伸べてくれる優しい人が居ることを改めて教えられました。主演を務めたダコタ・ファニングも自閉症を抱えた若い女性をリアルに演じていてとても良かったです。最近妹の方が何かと話題になることが多いのですが、彼女にはこのまま演技派の道を歩んでいって欲しいものです。今回の結果は残念だったけど、必ず認めてもらえる日がきっと来るよ。そう思わずにはいられないヒューマン・ドラマの佳品でありました。お勧めです。 |
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