4.《ネタバレ》 すごいのんびりした時間が流れる。せりふもあんまりなくて、緊張感のないやり取りがふとリアルに聞こえることがあって楽しい。横断歩道渡っているときにふと好きな女の子に「妊娠してるの」って言われるシーンの浅野忠信が妙に印象に残ったり、最後の電車内での再会が素敵だったり、なにより「どこにいるかと思って電話しました」っていう電話のかけ方が最高だったり。この映画はなんとなく切なさと暖かさを微妙なバランスの上で描いたすごい恋愛映画のように思える。ラストで、静けさを破って流れる「一思案」がこれまで見た映画の中でもっとも効果的に使われているエンディングテーマだと感じた。この映画は感じてばっかりだ。でも結構いいのではないかと思う。 |
3.主人公の後姿を映しつづける。ここに小津を発見。主人公が実家でくつろぐ。そして立ちあがろうとした瞬間、正反対からのカットに切り替わる。「おぉ!『麦秋』だ~!」とここにも小津発見。しかし当然のことながら、小津の描いた東京はもうない。小津の描いた家族もいない。それでも小津の描いたものを模索するように電車に乗る。そして探す。大家さんとの会話を見て、父と娘の無言を見て、意味の無い会話をする男女を見て思った。まぎれもなく侯孝賢の映画だと。これは小津に恋した侯孝賢の映画だ。男と女が別々の電車に乗って急接近するシーン、そして大団円的に電車が行き交う画、、こんな素晴らしい画が日本のロケで撮れることを日本人ではない侯孝賢に教えてもらった。なんとも複雑な心境である。 【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-10-14 17:31:34) (良:1票) |
2.小津監督の作品をたくさんは見ていないので私の感想は間違っているのかもですが、私の印象では小津へのオマージュという意図はその映像によく現れているかなと思いました。こだわりのある人にはあれが違うこれが不足、と言う部分も多いのかも? でも単純に感性で見る映画だなと思います。 ストーリーはあるようなないような、ですよね。 印象的だったのは設定上たくさん出てくる電車や列車を映しこんだ構図の美しいことです。生まれ育った東京なのでどの構図も自分の目に写したことのある風景ですが、こんなに美しかったのかと感心しました。 日本を離れて久しく、だんだん視点が外国人に近くなっているせいか、この映画に写し取られたどこかレトロな、でも今の東京にも残っている風景たちが実に魅惑的に見えます。おそらく外国人である監督の目にもそういった風景は輝いて見えているんじゃないのかなと思いました。 それにしてもお父さん、最後に一言くらい言うんじゃないかと期待してたのに...(笑) 【ぽん】さん [映画館(字幕)] 7点(2005-09-11 08:26:29) (良:1票) |
1.これが徹頭徹尾電車の話だったらどんなに素晴らしかっただろう。浅野忠信の自作のイラストやアドリブ芝居なんてどうだっていいから、ずっと電車を映してほしかった。 |