4.《ネタバレ》 冒頭で監督が語る「これは実話です」が納得のドンパチも追いかけっこも無い地味~~~な作りです。 普通の男性がある日突然誤認逮捕される理不尽さが音楽効果もあって胃に堪えます。ヘンリー・フォンダが一貫して淡々としているのに、濡れ衣を晴らすシーンを待ちわびる。苦手な彼を初めて魅力的に思えた名演でした。更なる名演が奥さん役のヴェラ・マイルズ。予想もしてなかった驚きの展開での真に迫る壊れ模様が哀れであり、淡々と彼女を守ろうとするご主人にホロリとすると共に、間違えた奴等に怒り心頭。誰一人として一家に謝罪する者が居なかったのに血管ぶち切れ。 2年の月日を思うとめでたさも中くらいではありますが一家の後ろ姿にホッとするところです。 巨匠にしては異色作ながら印象深い良作でした。 |
3.冒頭、ヒッチコックが現れて、「いつもの私の映画とは違いますよ、これは実話なんですよ」みたいなコトをおっしゃる。その語り口は、どうも“熊倉一雄のモノマネ”に聴こえてしまうのですけれど(そりゃ逆だろ、と言われようが何と言われようが)。うーん実話の映画化か、“実話”という言葉に弱いのよね、ワタシ。しかし、これでもかという逆光の中に立ったヒッチコックに、オドロオドロしくそんなコト言われても、まあ、あまり真に受ける気も起らず(笑)。実際、映画の内容も、ある日突然誤認逮捕された男の話、これは確かに実際の事件に基づくのかもしれませんけど、その描き方としては、実話の重み、みたいなモノを強調することもなく、ただひたすら「日常にひそむ恐怖」をサスペンスフルに描きだす作品でして。その意味では、(そりゃまあ、警察から逃亡したり、組織からも追われたりといった派手さは無いとは言え)むしろ、「いやいやこれこそ、ヒッチコックさん、あなたらしい作品じゃないですか」と言いたくなります。ここでも披露される種々のカメラテクニックは、まさに虚構としてのオモシロさ。警察嫌いのヒッチ先生が、警察の失態をネタに、一本楽しんで作った作品、ってな感じですね。おかげで、映画後半の裁判の過程(普通ならココに力点置きそうなもの)は結構、いい加減に描かれてる気も。あくまで前半の恐怖にこそ、ヒッチ先生も感心がありそうです。しかししかし、正直言うと、アメリカの良心みたいな顔をしたヘンリー・フォンダが追い詰められていく光景というのは、結構、「いい気味だ、もっとやれ」という気持ちになってきてしまうのですけどね、うふふふ。 【鱗歌】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-04-19 02:11:57) |
2.ある意味非常にヒッチらしく、ヒッチ自身が実社会の中で「怖いよ~」と思っている現象を題材にしているのではないかと思う。サイコや鳥は確かに怖いが、それとは一味違った恐怖、例えば普通の人が普通に生活していて、あれよあれよと不幸な状況に引っ張られてゆく。いわゆる「巻き込まれ系恐怖」はヒッチ監督の得意とするところですよね。北北西然り。更には、通り一ぺんの取調べや裁判、人の記憶の曖昧さ、真実はそれを証明できなければ真実ではないという社会、これらを風刺しているところは珍しく社会派です。単に怖がらせようとするものとは系統を分けるジャンルの作品。 【ちゃか】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-10-26 15:29:29) |
1.顔が似ていたせいで、奥さんまでおかしくなったわけで、いい加減な証言をした人たちには何の責任も問われなくて言いのだろうか、と思ってしまった。大衆は怖い。 【HK】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-11-26 00:09:18) |