56.初見は中学生。正義面して人の心まで意のままに操ろうとする婦長は長年に亘り憎悪の対象でした。何十年振りかの鑑賞でもその点は変わりませんでした。規則破りや無軌道はカッコいい事ではありません。しかし、規則やシステムが人間性が置き去りにされたものであり、管理者が被管理者を見下している世界、小は家族から大は国家まで、は正常ではないと思います。ラストで元の日常に帰った者達と走り去っていくチーフ。行動する事の凄さと難しさを痛感させられます。本作でのめり込んだジャック・ニコルソン。今観ても最高のニコルソンです。
2022.9.27追記 ラチェッド婦長の メディケーション タ~イム 今も耳に残っています。鉄仮面が崩れたシーン 今も目に焼き付いています。 お疲れ様でした。 合掌 |
55.アウトローな生き方と規律正しい空間との交錯…1975年の公開から半世紀近くとなる今も、どこかでルイーズ・フレッチャーとジャック・ニコルソンがそのままいるように感じる迫真の演技に、現代への警鐘を感じます。個性重視の教育と言われて久しいのに、周りを見渡してもTVに出てくる顔ぶれも、なんだか同じようなタイプばかりですよね。豪傑で型破りな人たちはロボトミーされて消えていったのでしょうか(笑)。1+1が瞬時に2となる規則正しい世の中は、それはそれで安心安全を提供する立派な時代といえますが、違う見方をすればこの映画のように管理された生活とあまり変わらないと思うのは、私だけでしょうか。 確かにアウトローは時として感情に走ってルールを破ったり、とても組織なんかに馴染むものではありません。しかしそこには自由と本能と(本物の)個性が存在します。そしてこの寛容こそが世間体という概念を焼き払い、同じように閉塞していた何人かの自我と感性を取り戻させ、彼らの心の扉を開放しました。 自分は変なのか?息苦しいな…。みんな同じことしてないか? そう感じることが割と多い人に、この映画を推薦します。チーフが水道管を持ち上げて鉄格子の窓に投げ付ける時、ともに歯を食いしばり感情が込み上げたなら、今の自分に自信を持ってくださいね。 【元締・虎】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2019-03-14 16:22:18) |
54.昔見たときは、わからないところがいくつもあって、さほど良い映画だとは思っていなかったのだが、2度3度と繰り返し見ているうちに、そのすばらしさがわかるようになった。 昔疑問に思っていたのは、チーフがなぜ精神病院に入ったのか、なぜ聾唖者を装うっていたのか、それとラストの行動など。そして最大の謎はタイトルの由来だった。 しかし、カッコーという鳥の習性や繰り返し見ることによって、ほぼ解決できたと思う。 この映画は実に奥行きが深いし、すばらしい。アカデミー賞の多くの部門の賞を得たのも当然だと思う。またこの映画の舞台となった精神病院(カッコーの巣)の問題点は、私たち身近にもたくさんあると思う。それを象徴しているのではなかろうか。 【ESPERANZA】さん [映画館(字幕)] 10点(2012-02-18 22:41:39) |
53.俳優達の迫真の演技で、何回観ても心打たれ、涙してしまう。
特にビリーの吃音や目で訴える演技は特に素晴らしかった。 全俳優の演技力が素晴らしく、本当に何回観た事か。
かなり昔に見た映画だが、自分の中で本作を越える作品に未だ出会っていません。 文句なしの100点です。 【おーる】さん [DVD(字幕)] 10点(2010-03-26 08:21:14) |
52.初見は高校生の時。とにかくあの看護婦が憎らしかったです。あの当時は管理教育が当たり前、格付け向上に必死になり、規律を乱す者はさっさと切り捨てる学校。親より威圧的な教師と看護婦がピッタリ重なったのだと思う。でもそれなりに年をとってから見るとまったくちがうのね。患者たちには自由が殆ど与えられていない、けれど彼らにとっては病院に居る限り、その場しのぎではあるけれど平和と安堵があったと思う。足りないのは自由な豊かな心。看護婦もマクマーフィもどっちもどっちである。この両者の争いに振り回され、自殺者まで出てしまった他の患者たちが気の毒でしょうがなかった。ルールで人をがんじがらめにすることはできない、しかしルールを無視し、他人を巻き込み好き放題やるのを自由とは言わない。ラスト、チーフが洗面台で窓をぶち破り遠くへ走り去っていく姿は心の開放を象徴しているように感じた。これはじっくり、たっぷりと「映画を見た」という満足感を得られました。最近はこういった映画が少ないですね。 【envy】さん [地上波(吹替)] 10点(2009-11-13 13:24:13) |
51.人間が「真に生きる」とはどういうことなのかを考えさせ、何度も色んな観点から楽しめる名作。 直接的に精神病院というある意味特殊な閉鎖社会の特異性と問題点をテーマにしつつ、管理という名の閉塞、秩序を大儀にした異質排除、それらを内包した権力社会の構造を、説教くさくなく描いていて秀逸。 とりわけ、生の躍動感にあふれた前半ジャック・ニコルソンの演技は素晴らしく、結末の残酷さを一層引き立てる。 また、ルイーズ・フレッチャー演じる看護婦の狂気の善人ぶりもお見事と言うほかない。 人間の尊厳が奪われるということは、死ぬよりも恐ろしいことなのだと感じた。 余談ながら日本でも数万の人が受けたと言われるロボトミー手術の発明者にはノーベル医学賞が与えられているそうだ。何が正しいのか結構間違えちゃうんだよね、人間って。などということを考えながら観ると恐ろしさもひとしお。 【poppo】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2007-09-14 00:16:18) (良:2票) |
50.たぶん、数ある映画の中で私の一番好きなのがこの映画です。ジャックニコルソンは言うまでもないですが、ほぼ無名と言える他の精神病患者の演じる役のリアリティに驚かせられ、また腑抜けとなっている患者が精力をだんだんとつけていく様子にとても感動できます。私は中でも、ジャック・ニコルソンがテレビに写ってもいないのに、さもそこで野球を見ているかのようなジェスチャーをして、皆でバカ騒ぎをしているところがスキです。そしてラストではチーフがジャック・ニコルソンに「Let's go」と言って、「一緒に」ここから飛び出そうとしてるんだと思うと、泣けて泣けてしょうがないです。 【SAKURA】さん [DVD(字幕)] 10点(2007-03-30 01:31:40) |
49.そうなんですよね。。。これといって派手な演出もないし、派手な音楽が流れるわけでもない。でも、自然と画面にひきこまれていく。あっという間に二時間経過してた感じ。やっぱジャックニコルソンいいですね。ああいう役が似合う。その他の俳優も、演技がうまい。 【あしたかこ】さん [DVD(字幕)] 10点(2006-05-31 04:01:54) |
48.愚痴を言いながらも自ら精神病院に入院してしまう「正常な」人間。管理される側とする側。青年は自分の意思で恋愛をし、精神的に自立しかけたのだが、母親の友人である婦長に結局言い負かされてしまい、自己を主張することができずに、また機会を逃してしまうことにより激しい自己嫌悪に陥り自殺してしまう。自由という難しさ。色々考えさせられました。自分の意思を持たないロボトミーにされるくらいなら死んでしまったほうがマシ。殺してしまうことも残酷なやさしさなのかもしれません。 【バチケン】さん 10点(2005-03-19 12:45:33) |
47.なにかが悲しい。そのなにかがわからない。生涯で最も心を掴んだ作品かもしれない。 【ガム】さん 10点(2004-06-07 01:03:31) |
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46.見ているうちに、精神病棟の患者がおかしいのか、一般社会がおかしいのか分からなくなった。この作品に出てくる患者たちは、情緒が不安定で社会性に欠ける人々。だがとても素直な人たちとも言える。自我や思考を捨てて周りに迎合して生きる人間が正常で、感情に嘘をつけない素直で純粋で少し弱い人が狂人なのか。そんなことをずっと考えながら見てしまった。 【ラーション】さん 10点(2004-05-24 05:39:01) |
45.この病院の最終目的はきっと、患者さんの治療、社会復帰であると思います。現代医療の見地からだと、精神医療はなんか画一的な方法があるのかも知れませんが、本作の婦長の行う管理療法では患者達は一生病院を出られないと思います。社会主義の是非は一概には言えません(cf:グッバイ!レーニン)が、その集団の目的やイズムが立派でなきゃ社会主義は駄目であり、むしろ実際にそのとおりにおこなわれていなければなおのこと駄目です。そこをしっかりしないからマクマーフィー主催パーティーが悲劇的に終わってしまうのです。映画の後半の方が患者さんたちが人間らしくみえます(もちろん監督の演出であることは事実)。でも僕はこれをすばらしいことだと感じます。よって10点 |
44.言うこと無い。すばらしい作品 【膝小僧】さん 10点(2004-02-27 23:59:00) (良:1票)(笑:1票) |
43.見終わった後、俳優の演技に唖然とされられてしまった。こんなに説得力のある作品は他にはないのではないか。病んでるのは精神病患者よりも我々なのかもしれない。多くの人に見てもらいたい作品である。 【hrkzhr】さん 10点(2004-02-15 15:22:36) |
42.この映画に出会ったとき、私は管理社会に対して大きな疑問を感じていた時期であった。 国家であれ、企業であれ、学校であれ、管理なくして秩序は保たれない。 その必要性を理解し納得しているはずなのだが、何か合点がいかない現実が周りにあった。 企業、学校など、いろいろな組織体系の中で、正しいとされている規律が、決して社会全体から見ると正しいことではなかったりする。 ところが、多くの人々は、自分が置かれている環境でしか通用しない「正しいこと」について、問題意識すら持たない。 そんな、釈然としない実体験が、この映画の中で展開する世界にオーバーラップしたのである。 病院側の、人間性を無視した管理。患者達の、現状に甘んじる消極的な態度。 まるで、現実社会の縮図を見ているような気がした。 冷酷なまでに患者を支配するラチェッド婦長。彼女の心無い一言が、患者ビリーを自殺に追いやった。 憎むべき対象以外の何者でもない。許せるわけがない。 私もマクマーフィ同様、反旗を翻し管理側に立ち向かったことがあった。 チーフのような力強い協力者も現れたが、権力と個人の力の差は大きく、結果は敗退。 組織から排除されたのも、この映画同様である。 ロボトミーを受けずに済んだのは幸運ではあるが。 しかし、二十数年間この映画を観続けてきた今、私は他人を管理する立場にある。 組織運営の為、規則により一人一人の自由を剥奪している。 その結果、管理を厳しくすればするほど、組織の秩序が保たれることを実感している。 ラチェッド婦長こそ、管理の教科書ではないかとも思えてきている。 立場によって「正しいこと」も変わってくる、いや、もともとそんなものは無いのかもしれない。 そして、考える。きっと、秩序を優先させた最たるものは全体主義であり、人権を無視した独裁国家に行き着くのであろう。 自由ばかりを優先させ秩序が崩壊した社会は、それぞれが勝手な行動に走り、安全な生活とは程遠い無法地帯と化すに違いない。 この映画は、私達に何を伝えようとしているのだろうか。 「全体の秩序と個々の自由。二つの反比例する相関関係こそが"人間の愚かさ"の証しであり、 二つを両立させようとする努力こそが"人間の素晴らしさ"の証しである」と、語りかけているように、私は感じるのである。 【Gang10】さん 10点(2004-02-03 09:42:34) (良:2票) |
41.素晴らしいレビューの後なので気が引けるが...。精神病者もマクマーフィも規定の枠に収まりきらないアウトローとして,同じように差別され同じ扱いを受けるのを見てショックを受けた。もちろん,その酷さそのものにもショックを受けたのだが,もっとショックだったのは,自分が「人間らしい」マクマーフィをこのような酷い目にあわせるなんて!といつの間にか感じていたことだった。よく考えてみれば,ラチェッド婦長が非人間的,マクマーフィが人間的,と切り分けるとき,私は私の「常識」によってそれを行なっている。しかし,その常識が「規定の枠」となり,今日のマクマーフィを檻に閉じ込めないという保証はどこにもないのだから。私にとって,精神病院は自分の感覚や常識といったものの象徴だ。そして,そこから飛び出すチーフの背中を羨ましく見るのである。 |
40.この映画には,「本物」の迫力があります.チェコから西側に亡命したミロス・フォアマン監督は,ベタベタなまでに自分の人生を作品に投影させていますね.洗面所の石台の話が作品のキーになっているわけですが,役者達のセリフを通して「俺は挑戦した.命をかけて亡命に挑戦した.」という監督自身の矜持が伝わってきます.ラストが不可解だという意見もあるようですが,私にはすごく分かり易かったです.「殺してあげる」ことも,友情の一つの形でしょう.切腹時の「介錯」に近い行為だと思います. |
39.プログラム化された精神病棟は、メタフォリックな意味での現代社会を表している。精神病患者としてボランタリーに日常を封じ込めた人たちが集う静謐な世界。それは、共同体の失われた現代において、一種の非日常的な日常空間でもあるだろう。<大江健三郎の「他人の足」と同じ世界か。> この世界にトリックスターたる存在として、ジャク・ニコルソン演じるマクマーフィが投げ込まれる。彼は、予測不可能な行動を繰り返すことによって、他の精神病患者たちを戸惑わせると同時に大いに惹きつける、外の世界の魅力をプンプンさせる実に人間くさいキャラクターなのだ。この作品の主人公は、精神病棟そのものである。マクマーフィのある種のヒューマニズムによって掻き乱される閉鎖世界。世界は風穴をあけられ、人々はこころを取り戻すかと思われた、が、最終的にマクマーフィの人間性が剥奪されることにより、世界は元の閉鎖状態に戻ってしまう、ように見える。しかし、ここに到って内部の人間チーフの選択が浮かび上がってくるのである。<ある意味でこのチーフこそ、本来的な主人公ではないかとも感じる> チーフは、既に人間性を奪われたマクマーフィの息を止めることによって、彼の幻影を消失させ、世界から跳び出すことを選ぶ。そして、それ以外の者たちは、そのチーフの姿に改めてマクマーフィの幻影を追うのである。この映画の印象的なラストシーンは、僕らに突きつけられた「人間としての可能性」に対する問いだと言えるのではないか。僕にはそう感じられた。断絶した世界の中で、”生きていく”可能性とは、一体どういうことなのか? それは、とても切実な問いである。 【onomichi】さん 10点(2004-01-03 23:57:23) (良:3票) |
38.全く飽きさせないストーリー展開に最初から最後まで釘付けでした。ジャック・ニコルソンをはじめ、俳優さんたちの演技が本当に素晴らしい。最高! 【きすけ】さん 10点(2003-12-24 02:24:11) |
37.間違いなく、私が衝撃を感じた映画ベスト3の一つ・・と思っていたが、よくよく振り返るとベスト1、と言いきれると思う。でもこれだけの演技を披露しながら、その後も怪優ぶりをいかんなく発揮しているジャック・ニコルソン、あなたはこの映画以上に、偉大だ!!! 【おばちゃん】さん 10点(2003-12-19 16:25:47) (良:1票) |