163.素晴らしいレビューの後なので気が引けるが...。精神病者もマクマーフィも規定の枠に収まりきらないアウトローとして,同じように差別され同じ扱いを受けるのを見てショックを受けた。もちろん,その酷さそのものにもショックを受けたのだが,もっとショックだったのは,自分が「人間らしい」マクマーフィをこのような酷い目にあわせるなんて!といつの間にか感じていたことだった。よく考えてみれば,ラチェッド婦長が非人間的,マクマーフィが人間的,と切り分けるとき,私は私の「常識」によってそれを行なっている。しかし,その常識が「規定の枠」となり,今日のマクマーフィを檻に閉じ込めないという保証はどこにもないのだから。私にとって,精神病院は自分の感覚や常識といったものの象徴だ。そして,そこから飛び出すチーフの背中を羨ましく見るのである。 |
162.この映画には,「本物」の迫力があります.チェコから西側に亡命したミロス・フォアマン監督は,ベタベタなまでに自分の人生を作品に投影させていますね.洗面所の石台の話が作品のキーになっているわけですが,役者達のセリフを通して「俺は挑戦した.命をかけて亡命に挑戦した.」という監督自身の矜持が伝わってきます.ラストが不可解だという意見もあるようですが,私にはすごく分かり易かったです.「殺してあげる」ことも,友情の一つの形でしょう.切腹時の「介錯」に近い行為だと思います. |
161.プログラム化された精神病棟は、メタフォリックな意味での現代社会を表している。精神病患者としてボランタリーに日常を封じ込めた人たちが集う静謐な世界。それは、共同体の失われた現代において、一種の非日常的な日常空間でもあるだろう。<大江健三郎の「他人の足」と同じ世界か。> この世界にトリックスターたる存在として、ジャク・ニコルソン演じるマクマーフィが投げ込まれる。彼は、予測不可能な行動を繰り返すことによって、他の精神病患者たちを戸惑わせると同時に大いに惹きつける、外の世界の魅力をプンプンさせる実に人間くさいキャラクターなのだ。この作品の主人公は、精神病棟そのものである。マクマーフィのある種のヒューマニズムによって掻き乱される閉鎖世界。世界は風穴をあけられ、人々はこころを取り戻すかと思われた、が、最終的にマクマーフィの人間性が剥奪されることにより、世界は元の閉鎖状態に戻ってしまう、ように見える。しかし、ここに到って内部の人間チーフの選択が浮かび上がってくるのである。<ある意味でこのチーフこそ、本来的な主人公ではないかとも感じる> チーフは、既に人間性を奪われたマクマーフィの息を止めることによって、彼の幻影を消失させ、世界から跳び出すことを選ぶ。そして、それ以外の者たちは、そのチーフの姿に改めてマクマーフィの幻影を追うのである。この映画の印象的なラストシーンは、僕らに突きつけられた「人間としての可能性」に対する問いだと言えるのではないか。僕にはそう感じられた。断絶した世界の中で、”生きていく”可能性とは、一体どういうことなのか? それは、とても切実な問いである。 【onomichi】さん 10点(2004-01-03 23:57:23) (良:3票) |
160.おもしろい。一応歴史的名作扱いですが、今となっては話の展開はオーソドックスといえるでしょう。ジャックニコルソンが生き生きしてていいですね。 【MASH】さん 8点(2004-01-03 09:21:26) |
159.婦長嫌い、ちゃんと任務を遂行してるから良いとか言ってる人もいるけど仕事どうのこうのじゃなくて人間的に問題あるっしょ。もちろん患者等もマクマーフィもイカれてる。沈黙はまともな証拠でもなく、騒ぐのもまともでもない、答えがわかってる質問もまともでないんだから全員問題ありってことだろ。しかも、誰かそれを解決する力もする気も無くなんじゃこりゃって思うしかない。同情の余地無けりゃハッピーエンドでもなけりゃバッドエンドでもないこんな駄作に何でみんな高い評価をつけるのかわからない。得るものなど何も無い、反面教師で良かっただというなら納得だけど、ただ良かったとか面白かったという感想がわからん。 【taron】さん 3点(2003-12-31 20:02:56) (笑:1票) |
158.知人が絶対おすすめというので期待して見ました。期待しすぎたのかそれほどでもなかったですね。それにしても最後に脱出したデッカイ人は何処に向かっていくのか気になるところです。 【 バース】さん 7点(2003-12-26 16:42:51) |
157.全く飽きさせないストーリー展開に最初から最後まで釘付けでした。ジャック・ニコルソンをはじめ、俳優さんたちの演技が本当に素晴らしい。最高! 【きすけ】さん 10点(2003-12-24 02:24:11) |
156.間違いなく、私が衝撃を感じた映画ベスト3の一つ・・と思っていたが、よくよく振り返るとベスト1、と言いきれると思う。でもこれだけの演技を披露しながら、その後も怪優ぶりをいかんなく発揮しているジャック・ニコルソン、あなたはこの映画以上に、偉大だ!!! 【おばちゃん】さん 10点(2003-12-19 16:25:47) (良:1票) |
《改行表示》 155.普通にしていてもイッているように見えるニコルソンにとって適役だったと思う。 完全にシステム化された病院。プログラマーは婦長である。チーフはアノマリーで・・・、あ、マトリックじゃなかった! もとい、そのシステムにより世間に出ることを恐れるようになって自閉ぎみになっている患者たち。彼らは外の世界に居るよりも、院内の世界の方が気楽にすごせるようになってしまう。異端物資であるチーフは自由という喜びを仲間(患者)に思い出させるように行動を始める。自分で選択する人生、楽しい人生は自分でつかみにいくものだということを、身をもって教えるのである。 患者の心を解放したチーフは、皮肉にも「死ぬ」ことで自分の心を解放することとなった。 婦長の「管理主義」とチーフの「自由主義」。双方の感性のぶつかり合いが見事に演出された見応え有る秀作でした。 |
154.なんのこっちゃわけがわからなかった。まぁロボトミー手術だけは受けたくない。以上。 【ぷりんぐるしゅ】さん 3点(2003-12-18 08:26:06) |
|
153.アメリカ映画協会が選ぶ『映画の悪役ベスト50』の第五位に婦長がランクインされていたことを知っていたので、どんなひどい人なのかと期待しながら見始めたのですが、予想に反した人物だったので驚きました。主演二人は、どちらが正義でどちらが悪という単純な構図ではないように思えました。舞台が精神病院であったり最後が衝撃的だったり、決して明るくはないですが、とてもインパクトのある映画でした。 【プミポン】さん 6点(2003-12-17 00:49:23) |
《改行表示》 152. 主も脇も役者陣の演技が完璧なので、精神病院の中の出来事 というちょっと引きたくなる設定にもかかわらず前半はストー リー展開に引き込まれる。これだけ出ている役者がうまければ 普通は最後まで楽しめるはずだが、ラストにかけて自分にとって はストーリー展開が「えっ、なんでこうなるの」ということばか りで全くの消化不良に終わった作品。ウーム、わからん。 |
151.最高です!ニコルソンを見てるだけでも充分面白い。脇役陣の演技も最高!みんなめっちゃハマってる!!! 【ケンジ】さん 10点(2003-12-14 23:49:11) |
150.《ネタバレ》 あらゆる意味で、その後の私の人生に絶大なる影響を与えた映画。70年代ホラーやパニックブームの中で、娯楽映画の楽しみに浸っていた中学生は、この映画に出会って初めて、世の中にはただ楽しいだけでなく、価値ある映画があることを知る。そして世の中には不条理があること、自分の心で感じ、頭で考えることの自由さ。中学生という多感な年頃にこういう映画に出会ってしまったことはある意味不幸であったような気もするが、とりあえず私はこの後数十年に渡って「正義」という言葉の意味についてクドクドと考え続けることになる。この映画の主人公R.P.マクマーフィは、本当に精神異常者だった「かもしれない」し、あるいは刑務所の強制労働を逃れるために精神異常者を装っていた「かもしれない」。マクマーフィ役を演じたジャック・ニコルソンや監督のミロス・フォアマンも語っているとおり、マクマーフィが精神異常者だったのかどうか、映画は最後まで明らかにしていない。実はそのことがこの映画のテーマなのである。精神異常者である以前にれっきとした犯罪者である彼は、精神病院の「体制」を維持するためにロボトミー手術を受けさせられる。体制の維持は、人間性の剥奪に勝るのか。精神異常であるか、単なる犯罪者であるかという点で、人はその精神の自由を奪われることを判断されて然るべきものなのか。そしてマクマーフィの押し通そうとした「自由」を、異常であると決めつける権利が本当は誰にあるのか。犯罪者であるから抹殺して良い、精神病患者であるから治療しなければならないと考える多数派による「良識」のあり方を、この映画は問題提起の形で描くだけで答えは観客の手にゆだねられている。決して正しくはない主人公の生き方を、異端として排除する多数決社会の価値観は、我々が無意識のうちに選んでいるはずのものであり、それを支えているのが「常識」や「道徳」という名の社会規範である。主人公の行き過ぎた自由を容認するほど社会は優しくはないが、病院側の行過ぎた制裁を支持するには、人々の心は冷たくもない。ただ一方的に自由だけを高らかに歌い上げるのではなく、非常に曖昧かつ必要不可欠な「バランス」そのものに疑問を掲げるこの作品は、多くの人の人生にとって避けて通ることのできないものであると私自身は考えている。 【anemone】さん 10点(2003-12-11 23:18:09) (良:6票) |
149.面白かったけど非常に後味が悪いですね。まさかあんな結末になってしまうとは。マクマーフィは、最初はてっきりサイコ野郎だとばかり思っていましたが、意外にもまっとうな人間でした。ただ、自分の直感を頼りに自由奔放に行動するこういうタイプの人間は、管理社会の中では必ず何らかの規律・法を犯します。倫理観が欠如していると言えばその通りなのですが、かと言って人間として、本質的な意味で異常だとは断言できないわけです。彼が病院内で振舞った行動は、彼の単なるエゴがもたらしたものなのか、人間性を失った患者達にそれを取り戻させようという彼の善なる心がもたらしたものなのか、それは分かりません。でも、決して自分1人だけではなく他の患者達とも楽しみを共有しようとしていたこと考えると、多少なりとも後者の気持ちがあったのでしょう。そう考えると、ラストの結末は余計に救われない思いがします。チーフ1人だけは自分を解放することを選択したわけですが、残りの患者達は結局元のさやに収まってしまうのでしょう。 |
148.マクマーフィがもっと早く病院から出ていれば・・・って言ってしまったら元も子もないのですが、彼と他の患者達にしだいに友情(でしょうね)が芽生えてしまった。でもそれは人間として当たり前の感情であるのに、あそこではそれすらも許されなかった。 人間の尊厳・人権とは何だろうと考えさせられる映画です。 最後にチーフの行動は、通常では許されない行為なのだけれど、彼にはそれしか手段が無かったのだと思います。 【あずき】さん 8点(2003-12-10 15:18:23) |
147.すごく考えさせられた作品です。精神病院で働く前に見たのですが、やっぱり今でも入院患者と社会というのはすごく隔離されているんですよね。そして退院したとしても帰るところのない人がほとんどです。彼らは自由を求めつつ、管理もされたがっているから戻ってくるというよりは、帰るところがない愛に餓えた人でもあるような気がします。ジャック・ニコルソンがやろうとしたことは人間の尊厳を取り戻すことでもあるけれども、友情というかそういうことのような気がする。 【yukaori】さん 9点(2003-12-08 06:46:04) |
《改行表示》 146.うーん。結局なんだろう。あまりピンと来るものがなく高評価は 無理ですね。ニコルソンがすき放題してだから何?みたいな感じです。 【とま】さん 5点(2003-12-07 21:00:00) |
145.《ネタバレ》 お気に入りの、ジャック・ニコルソン主演の、超名作映画なんですが、この作品って、色々な意味に取れます。(フルメタル・ジャケット)もそうですが、この作品も、設定は精神病院ですが、現代社会にも置き換えられるシリアス作です。今いちわからない場面は、インディアンです。3回も泣きましたが、終わってみると全て、インディアンがらみのシーンなんです。バスケット・シーン、挙手シーン、水飲み機を持ち上げるシーン、この3つに感動し、ニコルソンと同じように思いました。自分の意思だ!って。ところが、ラスト、あれはないんじゃあないの??4度目の意思は、あれなの?ここが後味悪く、理解に苦しみます。婦長役?の女優うまかった。(ネットワーク)思い出した。なんだかんだ文句言って、ここに帰ってくる患者、管理社会を批判しながら、管理されるのを待ってる・・この作品は、りっぱな社会派ドラマでもあります。 【アルメイダ】さん 8点(2003-12-07 11:57:55) |
《改行表示》 144.《ネタバレ》 人間の尊厳について考えさせられる映画。 あれだけ暴れまくってたマクマーフィーと廃人のようになった術後の彼とのギャップからロボトミーの非人道性を強烈に感じる。 【ぐれーん】さん 9点(2003-12-03 15:45:21) |