6.《ネタバレ》 主人公は、自分がダメな人間だと知っています。短所についてはよく分かっている。でも長所については気付いていません。いや“気付かないように”していると言ったほうが正しいのかも。窮地に追い込まれたのは、“自分がダメだから”。一見自己責任を認めているよう。でも違います。ダメが故に失敗した。つまり失敗しか在り得ないのなら、もはや自分に責任はありません。必然だから。これは自虐的だけど、本当は凄く“楽な心のあり方”なんだと思います。でも決して心は満たされません。彼はアンジェラによって、本当の自分と向き合います。アンジェラは彼自身だという。彼のあるがままを映し出す鏡。短所も長所も含めて自分を認めることから、自分らしい生き方がはじまる。それが本作のテーマだと思います。そしてもう一つ大切なこと。それはアンジェラが地上に残った意味です。アンジェラが天に戻ってしまったら、彼女の存在は無かったことになってしまう。主人公が束の間見た夢。でも彼女は間違い無く存在しました。これが重要だと思います。大切なことに気付いただけでなく、2人で行動したことに意味がある。今在る自分は、生きてきた(行動してきた)結果の積み重ね。笑ったり、悩んだり、泣いたりしてきた自分の選択だから、信じなきゃならない。それが自分を偽らないこと。そして自分らしく生きること。「自分は何処から来たのか分からない」と泣くアンジェラ。ずっと誰かの鏡であり続けてきた彼女。常に主体ではありません。積み重ねてきたものが無いから不安なのです。彼女はこれから積み重ねていけばいい。物語は起伏に乏しく、問題の解決の仕方には無理があります。気取った演出も鼻につく。でも大目に見ようと思います。主人公は、自分自身だから。(あんなに純粋じゃないですけど。)恥も外聞もなくアンジェラにしがみついたアンドレ。カッコ悪いけどカッコイイ。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-04-16 18:02:43) (良:2票) |
《改行表示》 5.《ネタバレ》 母国フランスでは大コケ・駄作扱いされていた本作だけど、まったく駄作というわけではなく悪くはなかった。しかし良くも悪くもない中途半端な映画という印象を受けた。 映画自体は、説教くさいテーマであったが「嘘をいわずに真実をいえ」「人に愛されるような人間になり、なおかつ自分自身も愛せ」「自分に自信をもて」などそれなりのテーマを描きつつ、ラブストーリー的な要素や「別れの辛さ」なんてものも描かれている。しかし、これらのテーマなどが上手く演出されてはいないという気がする。特に、アンジェラの過去がなく苦悩するところや、アンジェラがアンドレのことを本当に好きになり始めて困惑してはやく空に帰りたがるという、肝心の「終盤」をかっ飛ばすほどに雑に演出しすぎている。ここは繊細に演出すべきだろう。 また、アンジェラが天使であることがあまり活かされているとは思えない。途中で正体も明かしてしまっているため更に面白さがなくなっている。天使とはっきりと描くのではなく、ラストは「果たして、アンジェラとは、夢だったのか、幻だったのか、天使だったのか、それとも生身の人間だったのか…」というような余韻を感じたかった。「グランブルー」「ニキータ」「レオン」で感じた「二人の別れ」の「前向きな切なさ」のようなものを演出できる人ではなかったか、リュックベッソンという監督は。お決まりのハリウッドエンディングを良しとする人だっただろうか。 むしろアンジェラは生身の人間の方が面白いのではないか。傷ついた男女が同じ時間、同じ橋で自殺未遂を図るという奇妙な出会いから、お互いがお互いの心の傷を癒していくというストーリーの方がよりベターな気がする。 また、この映画は「最後の戦い」でみせた白黒映画であり、「グランブルー」のような美しい風景をみせており、レオンでの名ゼリフ「「OK」は言うな。(個人的には使って欲しくなかった)」やフィフスエレメントで描いた「愛してる」と言い出せないシーンなど、リュックベッソンの集大成のような映画になっている。しかし逆の見方をすると、前作から6年経ったベッソンの成長のなさ、才能の限界や、監督能力の減退を見せつけられたような気もする。 この内容なら思いきって「最後の戦い」のように全くセリフをつけず、演出と俳優の演技だけでみせつけ、終盤の「ジュテーム」のみをセリフにするとか思いきった演出がみたかったところだ。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(字幕)] 5点(2006-05-15 22:58:58) (良:2票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 翼が生えて天に帰ろうとするアンジェラに 別れたくない、愛してると必死にしがみ付く ラストは名シーン。 今度は誰かのためでなく自分の気持ちに正直に なり、アンドレと人生をつくっていくことに 決心したアンジェラ。 こういうファンタジー・ロマンスは好き。 一歩間違えばコントだけど、その微妙なラインの 上に成り立っている。 白雪姫?ではないけど古典的な題材を 現代風にしたあたりが上手い。 小ネタ的だけど「OK,OK」「そのOKはやめろ」「OK」ていう 会話劇はレオンとマチルダの関係でもありましたね。 ベッソン監督好きなやりとりなんですかね(笑) 【シネマブルク】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-01-09 23:02:34) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 どうしようもない男が天使によってカウンセリングを受けて癒されていくような話。どこか自信のない部分や、虚栄心は誰にでもあるので自分を投影はしやすい。しかし癒される感覚は伝わってきても、結局男は女にもたれっきりで自立した感じは受けません。最後くらい自立した姿を見せた方が映画として締まったと思うけれど、まあこのラストもこれはこれで悪くはないかな。 【MARK25】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-11-30 18:54:03) (良:1票) |
2.リュック・ベッソン版「電車男」。思いっきりわかりやすい成長物語に、はじめはくだらないな~と思いつつも、いつの間にか主人公に自分を重ねて観ていた自分に気付き、一人赤面。エンディングは「フィフス・エレメント」よろしく仰天のハッピーエンドになっちゃっていて評価が分かれるだろうが、これはこれでよかったと思った。そうじゃなかったら、色々あっても主人公の人生は結局モノクロなまんまになっちゃうから。自信を無くしている時に、夜中にこっそり一人で見たい一本。 【ぽん太】さん [映画館(字幕)] 7点(2006-05-26 21:42:56) (良:1票) |
1.自分自身を肯定することで、主人公が生きる希望を見出していくまでの展開が、ただただ素晴らしい。もしも自分にフランス語が分かったら良かったのに。日本語に訳されてはいるが、そう思わせるほど言葉の運びがうまい。人の弱さの描写がうまい。相手が天使である事実を知らされ、「なぜ、俺だ?」と浮かべる涙。鏡を前に「愛している」とつぶやく時の涙。全てのシーンの涙に共感できる。それに併せて、鏡の中や空の上など、主人公の心理描写に合わせて繊細に撮られた、古典的な匂いのするカメラアングルも秀逸。こんな時代に、こんな映画にお目にかかれるとは思っていなかった。・・・・・・ああそれなのに、なぜベッソン、あなたは余計な興醒め演出を好むのか?なぜ繊細な高級料理に蜂蜜をぶちまけるのだ?翼を描く必要がどこにある?超能力を描く必要がどこにある?主人公の素晴らしい台詞、表情だけで、ただシンプルにそれだけで、彼女は素晴らしい天使なのに!モノクロームの繊細な心の世界から一転、最後の最後に余計でガサツな演出が入ってしまい、それだけが悔しくて悔しくてならない。それがなかったら、近年にない完璧な映画なのに!・・・・・・エンターテインメントに走った(それは別に悪いことじゃないが)リュック・ベッソンには、もうこんなレオン・二キータ時代の映画は撮れないのかと思っていた。個人的に大変惜しまれる部分はあったが、次の作品に大きな期待が膨らむ一作だった。 【six-coin】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-05-15 08:43:38) (良:1票) |