8.《ネタバレ》 共に苦手なケイリー・グラントとイングリッド・バーグマンを白けた思いで眺めていましたが、セバスチャンとその母親が登場してから画面に引きずり込まれ結末までアッという間でした。二人を魅力的だと思わせられたのはクロード・レインズのお陰でしょう。策略に嵌り男としても裏切られた無念さ、我が身可愛さから「助けて下さい」と母親に縋り指示に従う情けなさ、絶品演技に奥歯噛みしめておりました。圧巻の階段降りから後ろ姿でのエンディングに本作の主役は彼だと実感する演出も冴えわたる巨匠の傑作です。
2022.10.22追記 ミニシアターながらもクロード・レインズ スクリーン初体験 唯々ウットリと眺めておりました。(幸) |
7.やっぱりヒッチコックって、サスペンスの人、なんだなあ。などということは、巷では常識とされているらしいので、今更何言ってるんだ、ってなところなんでしょうけれども、それにしても。 この物語って、男女が互いに惹かれあっているにも関わらず、女はスパイとして容疑者のジジイと結婚、男はそれを陰で操る、という、ある種残酷な運命を描いている(はず)のもので、言わば悲恋の物語と言えなくもない(はず)のものなんですが、正直、その印象はあまり強くなくって。どちらかというと、特に中盤以降の、ワイン倉庫の捜査の描写などのドキドキ感に重点が置かれているようで。 戦時中の父の行為による汚名を被らされた挙句、今はまたこんなつらい任務に身を投じる女性、これって本来ならかなり悲惨な境遇、だと思うんですが、必ずしも愁嘆場のような場面は多くなく、わりとサバけた印象。捜査される側のジジイも、その母親を登場させるなどして人物像に幅を持たせたりしてるんですけれど。それが、途中からサスペンス全開モードになって、余韻を残すべく準備されたであろうラストの収まりが、何となく悪いように思われます。 しかし、サスペンスとしては、これがやたら面白かったりするもんだから、困ってしまう。困る必要ないけど。傾いたりボヤけたりする主観カメラだとか、被写体に急接近するカメラだとか、映画の見る者の視点を存分に引きずりまわす。鍵束につけられた鍵の数の足し算・引き算、瓶に書かれた年代ラベルの足し算・引き算から導き出される真相。とにかく、面白いシーンに事欠きません。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-01-31 13:22:09) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 アルフレッド・ヒッチコック監督による恋愛サスペンス。二大スター競演。その美貌を武器にして、虎子を得るために虎穴に入るアタシ。前半のロマンスはヌルくて退屈だが、終盤の急展開には引き込まれた。男前がミスって、スパイ行為がバレちゃった。コーヒーに毒を盛られ徐々に弱っていくアタシ、観ていて痛々しい。御身と引き換えにして、虎穴から虎子をもぎ取る。虎の最後のやるせねえ表情は名演やな。 【獅子-平常心】さん [DVD(字幕)] 6点(2021-01-30 07:03:27) (良:1票) |
5.前半のラブロマンスがだるい。でも後半のサスペンスがラストに向かって盛り上がっていくところはさすが。役者はみんなさすがに巧い。 【ブッキングパパ】さん [インターネット(字幕)] 5点(2020-06-27 21:49:19) (良:1票) |
4.話というよりも、ヒッチコックの映像演出がひたすらに冴え渡る一本。有名なキスシーンの長まわしから俯瞰ズーム、影の演出など、楽しんで撮っている様子が浮かんできます。悪役のマザコンは後の「サイコ」に受け継がれているし、見所に事欠かない良作。 【j-hitch】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-09-21 21:22:50) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 これと「めまい」はヒッチの作品史上稀有に堅実な傑作である。つまりはシナリオに支えられ、偉大な演技者たち(ケイリー・グラント、バーグマン、クロード・レインズ)に支えられ、無駄のないシンプルな外見を仕立て上げている。特に俳優に関して言えば、それぞれが目で語らしめる実力を備えており、実際ヒッチコックもこの作品に関しては目で語らせることを相当意識して作っている。ケイリー・グラントの真意の読み取れない奥深い眼、パーティシーン等でたびたび注視されるクロード・レインズの疑いの目、コーヒーの毒に気付いた際にバーグマンが見せた隠しきれない動揺の目。とりわけこのシーンではクロード・レインズ、母、バーグマン、それぞれの意図を反映した目のクロースアップが次々とカッティングされることで展開の変化を告げる素晴らしき映画の躍動に満ちている。この作品はいかにもヒッチコック風の視覚的エモーションの緊密性には縛られていないが、やはり随所でその鋭利な演出を見せ付けられている。バーグマンが鍵を隠し持つシーンがそれであり、積極的に転落へと向かうワインボトルのカッティングがそれであり、絶望のなか屋敷への階段を上るクロード・レインズ、その陰影の美しきシンメトリーの静謐な緊迫がそれである。 またクロード・レインズの最期を省略したことや、ブフカの死を見せなかったこと、バーグマンに対する遅効性の毒を考えてみても、発狂の瞬間よりもむしろその過程、溺れて死ぬまでの息苦しさをこそ描きたかったのだということもよく分かる。 【stroheim】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-12-29 02:41:44) (良:1票) |
2.ケイリー・グラントとイングリッド・バーグマンのキスシーンだけで、ご飯三杯はいける。 【かんたーた】さん 8点(2004-05-08 11:50:01) (笑:1票) |
1.《ネタバレ》 唐突ですが、私はコーヒーが好きだ。1日何杯も飲んでいる。そりゃ美味しいにこしたことはないけれど、多少マズくてもお代わりができるコーヒーがメニューにあるところ(デ○ーズとかロ○ホ、ミ○ドその他諸々)で、いたずらに時間をつぶしている。だから、コーヒーに毒を入れられるなんて考えただけであな恐ろしや!私がバーグマンだったら(そんなことはありえないが)、ケイリー・グラントが気付いてくれる前にお陀仏だったに違いない。そして、後悔し悲観にくれるケイリー・グラント。げげっ、なんちゃ面白くないや。主役二人のメロドラマは、ここではさして問題ではありません。気になるのはクロード・レインズよ。途中までは、バーグマン、あんたはなんておバカなの?スパイするならもっと準備しとけよぉ~と頭をかかえていたんですが、スパイ事件発覚後のクロード・レインズが哀れで哀れで……(涙)。愛している人に裏切られ、お母さんに実権を握られ(このお母さんがまたかっくいい)、仲間におびえ、もう八方塞がり状態。バーグマンを本当に愛していたからこそ憎くもあり、殺してしまわなければならないと思いながらも、その実はきっと一緒にいたかったんだと思います。ラストのケーリー・グラントがあまりにも憎らしく、お~い、クロード・レインズも一緒に連れていってやれよぉ~頼むから、連れていってあげて、と強く願ったものでした。完。 【元みかん】さん 7点(2003-10-18 13:15:05) (良:1票) |