《改行表示》 6.連休最終日の深夜1時過ぎ、翌朝はいつものように早起きしなければならないというのに、どうやらなかなか眠れそうにない。 床に就く前に、物凄い映画を観てしまったからだ。 何気ない日常の中の次の瞬間、「核戦争」によって世界は滅亡するかもしれないという“危機”と“恐怖”を、これほどまでに如実に、シンプルに描いた映画を他に知らない。 1964年、「冷戦」まっただ中で製作されたこの映画には、あらゆる「制約」が溢れている。 軍事力縮小の提言、冷戦構造の批判を真っ正面から描いた今作に対し、政府及び軍からの協力は全く得られなかった。 核弾頭を積んだ爆撃機の行方を追う映画でありながら、機体の撮影許可は得られず、盗み撮りした離陸シーンを使い回している。 そして、世界滅亡の危機を追うすべての緊迫のシーンは、指令本部、国防総省、爆撃機内、ホワイトハウスの地下司令室の4つの密室劇のみで描かれる。 幾重もの制約の中で、それでも描き切った映画表現の巧さ、そしてそんな時代だからこそ製作を押し切った映画表現に対する勇気に脱帽する。 「最悪」の中の「最悪」を回避するため、大統領が下したあまりに恐ろしい最終決断。 「北東からの爆発音が聞こえます 空が明るい 光ってる」 途切れる通信。高く響く機械音……。絶望。決意。 その展開がそのままリアルであるとは言えない。 ただ、たった一つの“エラー”で、世界は終わってしまうかもしれないという「事実」と「恐怖」は、紛れもない「現実」であり、圧倒的な緊張感から導き出された顛末に、大袈裟でなく背筋が凍る思いだった。 言い得て妙だが、この陰影際立つモノクロームの映画世界は、決して色褪せることは無いだろう。 それは、人類とこの世界が、今日この日においても1964年当時と同じ「恐怖」を抱えているからに他ならない。 突然途切れるような真っ白い画面、それが次の瞬間起こらないなんてことを誰も断言できない。 「大傑作」と断言できる映画に対する「尊敬」と、愚かしさを否定できない人類に対する「侮蔑」を同時に感じずにはいられなかった。 【鉄腕麗人】さん [DVD(字幕)] 10点(2010-10-12 01:23:37) (良:2票) |
《改行表示》 5.長丁場な作品であるのと、モノクロである上に導入部が長いのでやや冗長な感じは否めない。 ただ、そこさえ絶え忍べば、後はひたすら手に汗握る展開を約束されている。 シナリオがかなり秀逸であるため、劇としてしっかりと見せて、観客をグイグイ引っ張って行く。 シドニー・ルメット監督のこのあたりの作り込みのテクニックは素晴らしく、 「12人の怒れる男」同様の真価をここでも発揮している。 その確かな演劇の上に築かれているクライマックスは、尚ショッキングであるが、 何よりもホワイトハウスとクレムリンのホットラインによるやりとりの緊迫感は他に類を見ない。 通訳を介してのやりとりであるが故に、状況の進退が微妙なニュアンスで変転するという緊張感に張り詰めている。 私的にはこの作品は「12人の怒れる男」より上だ。 「博士の異常な愛情・・・」と同時期に製作公開され、テーマが似通ったせいか、 日本劇場未公開であるが、私はキューブリックのそれよりも、こちらの方が好きだ。 【あむ】さん [DVD(字幕)] 10点(2003-12-06 14:19:12) (良:2票) |
《改行表示》 4.一つ間違えは世界戦争、地球崩壊になりかねないだけの原水爆がボタン1つで乱れ飛ぶ、そういう恐ろしさを後世に伝える映画である。映画は低予算のモノクロ映画でありながら、迫真迫る演技と演出によって、その怖さを見事に描いている。 同年に製作されたキューブリック映画とは違い、正真正銘、正攻法1本のシリアスな映画だ。特に大統領と通訳二人だけ(相手は見えない)のシーンがすばらしい。 この映画は同年に制作されたキューブリック映画とは違い、日本公開が18年も遅れてしまったが、被爆国日本としてはそれほど強烈な影響を与える映画だったからかもしれない。 【ESPERANZA】さん [映画館(字幕)] 9点(2012-05-10 21:32:03) (良:1票) |
3.BGMさえ一曲もない、否、必要ない映画。20年前、テレビ放映を録画しといてホント良かったと思った映画です。 【荘次郎】さん 10点(2003-02-01 11:43:45) (良:1票) |
2.原作の「フェイル・セーフ」を先に読んでいて、そちらも傑作だったのですが、映画版も凄い!全編にピーンと張りつめたような緊張感が走り、画面から目が離せませんでした。そして戦慄のラスト。飛び立つハト(平和のシンボル)の群れ、鳴り響く金属音・・・。視覚と聴覚、両方から恐怖感を醸し出し、小説ではありえないスリルを味わいました。 【mic550】さん 10点(2002-10-20 22:06:16) (良:1票) |
1.先日リメイク版の未知への飛行を観て、ちょっとがっかり・・・そこで過去のビデオテープを探し出して「シネマ大好き」と言う映画特集で放映された物を探し出しました。やっぱりオリジナルが良いですね! とにかく緊張感が凄いんです。今ではありえない話でしょうが、核兵器を積んだ米軍の爆撃機がソ連のモスクワを間違いで爆撃してしまいます。それを阻止しようと米ソ両軍が爆撃機を撃墜しようとするのだが・・・原題のFailSafeとは地図上の軍事的な境界線でそこを越えると大統領命令でも無視し任務を遂行するのです。今はビデオも廃盤でDVDも無いため視聴は困難です。 【もぐもぐ】さん 9点(2002-09-10 15:37:23) (良:1票) |