《改行表示》 6.《ネタバレ》 似たような作品に「博士の異常な愛情(米国での公開は同じ1964年)」があるが、本当かどうかわからないが、脚本を書いた者同士は双方ともお互いの映画のことは知っていたらしい。あちらはコメディ。こっちはくそ真面目。 様々な問題で、この作品は日本公開が結構遅れたと言われている。 冒頭の闘牛の牛の夢。それが何を意味するのか。闘牛士の手によって牛に槍が突き刺さる。倒れ込む牛。 牛とは我々なのか? 闘牛士とは神なのか?それとも我々自身なのか? いけ好かない教授がマッソー兄い ソ連に向かう爆撃機を見て、顔は落ち着いているが、なんとなくヒャッホー状態。 当然のごとく「いま、攻めるべきよ」といい、好戦派の将軍(なんとなくルメイ氏に似てる 知らない人は調べてね)が「やりましょうよ」という 「良識派」の軍人が「何を考えているんだ?」と問いただす がこの人が最後に命令されることが、、、 その中、通訳と二人で秘密の通信部屋にこもる大統領。事故であることを伝え、書記長に話すが、どこか少し軽めに話す。 が、その態度は相手と対応に柔らかく話すための作成。通訳の「雰囲気解説」がこの電話会談をさらに緊密なものにしてゆく。 脚本が良いねぇ 電話会談はさらに緊張をしてゆき、在モスクワ米国大使 ソ連国連代表 戦略爆撃指令室 ホワイトハウスの戦術会議室 そして爆撃機隊長機 と電話が順々につながって行き、緊張度が増してくる。 戦略爆撃指令室の内で、ソ連攻撃機撃墜で喜ぶ管制官 すかさず大声で叱る司令官 彼と電話相手の通訳将軍だけがその場の良識人であり、悲痛な指示を心を殺しあいながら出していたのだった。 爆撃機からの最後の通信。その時隊長の奥さんが話をするが、お話はもう結論が見え見え。周りの人物にも焦りはあるがあきらめが見え隠れする演出。 モスクワは「消えた」 アメリカの良識と謝罪と意志を示すため。NYへの爆撃を自国で行うという選択。 それはないがな他にアイデア無かったのか? 結局「戦死者の数」ありきなのか? 戦死者減らすために核を作ったという言い訳の裏書か? そうぢゃないだろ? と被爆国の小市民は叫ぶが、物語は淡々と終了に向かう。 エンドクレジット前に「こんなことは今は起こらない」と言う但し書き出るけど、 クリムゾンタイドでもそんなの書いてあったけどなぁ 偶発核戦争は確かに起こっていないが、あわや寸前は数多くあるようだ 原子炉についてはもう言わずもがな だ 「十二人の怒れる男」との対比も考えれば面白い 正義とは真実 真実とは正義 が、この映画での真実・正義とは何なのだ? と言う 密室劇 長いよ暗いよオネエチャンほとんど出ないよ 東欧で、東アジアで 核が出るや出ないやら の時代にゆっくり見ることをお勧めします 映画の続きを作るとしたら、どうなるんだろうねぇ 【亜輪蔵】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-10-25 15:46:36) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 主にアメリカ政府の高官たちによる舞台劇仕立てになっています。しかし、この低予算な作りにして、そのスケールはあまりにも壮大。また全編通してソリッドな作りで、非常に硬派な映画だと感じた。 1964年当時、めざましく高度成長を遂げる軍事力のシステム化、そしてその成長に置いてきぼりになりつつある人間の頭脳と体制の限界、その歪みを鋭く捉えているように思う。もちろん、当時は現実の世界も米ソ冷戦の真っ只中であり、その時代性を鑑みても、本作の存在意義は大きい。 終始、怒号が飛び交う迷走ぶりのなか、米大統領 (H・フォンダ) と教授 (W・マッソー) の正反対ながらも人間臭い二人のキャラクターが印象に残る。 大きな混乱のなかで聞こえてきたやり取りに、こんな台詞があった。 「故障警報器が故障したと思われます」・・・大欠陥じゃないか (笑) 気づいた時にはもう手遅れというやつだ。システム設計における人間の盲点、また安全で完璧なシステムなど存在しないことを、とてもよく代弁しているように感じた。 ・・人間もシステムも完璧がない、だから何が起ころうとも、それは「必然」かもしれない。 【タケノコ】さん [DVD(字幕)] 8点(2020-09-23 17:01:30) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 ソ連との戦争が人類の破滅に直結すると言う危機感を世界が共有していた時代の作品。「機械」の誤作動を正そうとする「人間」のフェイル・セイフ機構が結局働かず、最後のミニマムダメージの選択が「ニューヨークに自国の爆撃機で水爆を落とす事」というのが余りにも悲しい。「論理的に最良の選択がこれなのです」という厳しいメッセージを当時の米国市民達はどのように受け止めたか。最近の米国における、安易なロシアとの敵対をあおる風潮に危惧を感じます。もう一度世界、特に米国民はこの作品の重み、何度も人類を滅ぼせるだけの核を持っている自分達への厳しさを確認するべきだと思います。 【rakitarou】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-04-09 23:05:59) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 核兵器の悲惨を描くのではなく、その「恐怖の均衡」という発想の狂気を描く。この均衡が崩れかけたとき、全面核戦争を回避するためにはどういう「最少の犠牲」が必要になるのか。丹念に不信の構造を見せつけられると、ラストの大統領の決断が突飛でなく、いやメチャクチャ突飛なんだけどこうする以外証明できないんじゃないか、と思わせられる、そこのところが怖い。大局的な世界にひたっていると、ニューヨークという大都会でも、全体を救うための「小さな犠牲」になってしまう。この恐ろしさ。その「最少の犠牲」の大きさに、核の均衡という発想の狂気、そもそもの核兵器を所持しないと不安でいられないところまで来てしまった軍事力に頼る人類の病理、がはっきり感じられた。戦争が終わると国家はいつも「犠牲者は平和への尊い礎です」と黙祷するだけで、その「礎」は戦争が繰り返されるたびに大きくなっていった。そしてこの映画ではニューヨークという都市がそうなる。なんかツインタワービル跡地のモニュメントを皮肉に予言したような映画でもあるな。冒頭にW・マッソーの教授がちらっと見せた黒い心、利益とか権力とかを別にして純粋に核戦争を望む心が存在するということのリアリティ、これはあまり突っ込まれてはいなかったけど大事なテーマで、これを観たときはまだ存在しいていなかったが、オウム真理教なんかを予告してたんじゃないか。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-05-01 09:50:32) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 私がシドニー・ルメットのファンだということを差し引いても、こんな映画を悪くは書けない。 でもまあ悪いところも書きます。 最初のシーンからパーティのシーンそこまでを除く、 軍事会議までがいやにだるいのです。映画的ではない。 つまり面白くない。ただし、悪いところはその中半だけであとは満点に近い。 キューブリックの博士と私情抜きで比べるためどちらも2回見ました。 いやなんでそこまでといっても・・ほとんど良く似た映画だからです。 似てる・・もちろん捉え方はまるで違うのだけれども・・ さらにまたよく似せてしまったのが訴訟問題後、コロムビア映画が両方の上映権を持った。 同じ会社から配給されてたなんて・・(なんか怪しいコロムビア) 題材が題材なだけにこちらを8点にしました。満点にはできません。 好きな題材ではないから。 この映画はすごいです。ラストの衝撃がすごいということは調べていたのですが、 どういう衝撃か知ってしまうと面白くないのでそこまでは調べなかった。 けど2回目見てもまだ衝撃でした・・ よく私ネタバレしますが、コレはふせておきますね。 ちょっとマニアックな映画なので見てない人も多いと思うので・・ ヒントは、昔の映画は最初と最後がつながっている・・ 最初に出てくるのはニューヨークシティの闘牛場です。 う~んまた見たくなってきた・・でも売ってない。 十二人の怒れる男でも有名な、ヘンリー・フォンダが大統領をやっています。 うまいです。でもその隣に座っていた通訳の俳優が気になりました。 あの役は難しい。座ったまま感情を示して同時通訳しないといけない。 俳優の鬼気迫る演技もすごかったけれど、緊迫感が怖くて 1回目に鑑賞した途中でもういやになったほど・・ うわ、じわじわと絞められてるようなキツイ映画だと。 割り切ってホラーやサスペンスと思って見たらなんてことないのだけれど、 実は本物の戦闘機に乗って演技している俳優や、 事務仕事のように冷静に分析する政治家役。 リアルすぎて演技かどうかわからないくらいでした。 で、終わった結果「戦争はよくない!」と思うしかなかった。 こういう真面目な作りの映画を観るとしばらく戦争娯楽映画が観れない。 ので・・キューブリックの映画でまた平和ボケに戻ろう・・!? 【アルメイダ】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-05-07 08:03:56) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 この映画と「博士の...」の類似性が言われていますが、実際に原作の「フェイル・セイフ」はその前に出版されていた「Red Alert」との構成の類似性(時間単位で進行する形式の構成から相互の都市破壊の提案まで)のために、映画化の際に訴訟問題が発生して意図的な真似との裁定からコロンビア社が映画化権を獲得することになったのです。その結果この映画のほうは日本での商業上映はなかったはずです。最初に見たのは米国のホテルでのケーブルテレビでした。内容では、この原作のほうは「博士の...」と違って(グローバルな指揮システムやヴィンディケータと称する超音速爆撃機など当時の未来戦の場面を想定した)ハイテクスリラーなのですが映画ではシリアス過ぎたので恐らく軍関係の協力とか得られずに爆撃機の姿も僅かな機影だけで戦闘シーンも皆無です。(多分チープなテレビドラマのセットでの作成でしょう)しかしそれで緊迫感を盛り上げているのは立派です。この映画にちらりと登場する巨大な表示装置にリアルタイムで文字が表示されるシステム(アイコノラマ)は現在の液晶での投影システムとか見慣れたひとには当たり前に思えますが1950年代の終わりに米軍が物凄く金をかけて実用化したものです。(それまでは背後から人手で(もちろん逆に文字を書く特技のひとが)書いていたのです。この原作と映画に登場したホットラインはキューバ危機を契機に実用化(テレタイプ方式でしたが)されました。改めて観直しましたが、原作(米国ではベストセラー、当時朝日ジャーナルに抄録が出て河出書房から出版)に馬鹿みたいに忠実で、そのために人物がパターン化され過ぎて実在感が乏しいのは仕方ないでしょう。原作に無い最終段階で編隊指令の妻を連れてきて説得を試みさせるシーンですが、冒頭の基地での会話にあるように昔の爆撃機と異なりクルーに家族意識を持たせないシステムなので機長が心をぐらつかせても副操縦士が「謀略です」とラジオのスイッチを切ってしまう訓練された非情さが示されます。また防御用僚機への後方を追い払えの命令で意図的に高度を上げて姿をさらしての囮戦術(多分マニュアル化されていた)にも非情さが現われています。 【たいほう】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2004-09-18 14:51:35) (良:1票) |