9.《ネタバレ》 本作が実話ベースだというのだから驚きますが、本編のレースシーンもほとんどがCGを使わずに実写撮影されているという事実には本当に驚きました。レースは終始ゲーム画面のような構図で進みますが、まさかこれがほとんど実写であったとは・・ 私はほとんどがCGだと思い込んでいただけに余計に驚きました。
で、本編ストーリーの方は極めて無難かつトントン拍子に進みます。この辺りは2時間枠の映画の限界を感じますが、TVゲームを一切プレイしない層にはちょっと現実離れしすぎていて、よく理解できないままアカデミーのシーンに突入してしまいます。ぶっちゃけ、5歳の時からモータースポーツに憧れていたのであれば、普通の感覚ならゲームにのめり込むのは明らかに道を過った行為で、違法な公道レースなりゴーカートに明け暮れているほうがよほど正常な思考回路といえます。この辺の描かれ方が浅いせいで、ゲームをプレイしない層にはチョットついていけないストーリーラインになってしまっています。(私は親友は映画とゲームだけですが) ただし、アカデミー以降はきちんと正常なレースドラマになっていて、無理がない流れは万人に受け入れられるストーリーとなっています。事故のシーンもリアルだし、その後の精神的な葛藤も良く描かれています。FIAライセンスを取得するまではとても上手く描かれていますが、その後がちょっと突飛。シムレーサー(ゲームオタク)だけでルマン3位はあまりにも映画的過ぎました。個人的にはほろ苦いラストであってもドラマ性は損なわれず、十分に素敵な映画に仕上がったと思います。
個人的にはツンデレの鬼教官ジャック・ソルター(デヴィッド・ハーバー)の出来がすこぶる良くて、本作の陰の主役であったように感じます。彼の過去も素晴らしいし、現在の境遇も最高でした。それらを経て主人公と共に勝利を手にするなんて胸アツすぎます。映画自体は凡唐な作品でしたが、真実の物語であったこと、レースが実写撮影であったこと、(脚色)鬼教官が大活躍であったこと、これらのおかげでかなり面白い映画に昇華した珍しい作品です! 【アラジン2014】さん [ブルーレイ(吹替)] 7点(2025-04-29 17:58:27) ★《更新》★ |
8.同名の“ゲーム”はプレイしたことはなく、ゲームファン向けに製作されたプロモーション色の強い映画なのだろうと高をくくって、劇場公開時は完全にスルーしていたのだが、ネット界隈の各映画レビューの評価がこぞって高く、気になっていた。 個人的に自宅リビングのテレビを買い替えたので、グレードアップして大きくなった画面での初の映画鑑賞を何にするか思案した結果、本作をチョイス。結果、最適な選択だったと思う。
まず端的な所感としては、想像以上に王道的なスポ根映画であり、レーシング映画だったなと思う。 “ゲームの映画化”という表面的なレッテルを貼ってしまっていたのか、もっとリアリティを度外視したぶっ飛んだ映像表現だったり、破天荒なストーリー展開が繰り広げられるのかと思っていが、しっかりと地に足のついた映画世界が構築されていた。
よく考えてみればそれは至極当然のことで、本作は実際にゲーマーからプロレーサーになった実在の人物ヤン・マーデンボローを描いた作品であり、現実の彼の成功譚をベースにして描いているのだから、リアリティラインが「現実」から逸脱することなく、真っ当に描き出されていたのだと思う。
併せて、ゲームに対して門外漢の僕には、「グランツーリスモ」というゲームの性質そのものに対する無理解が大いにあったのだと思う。 すなわち、このゲームは単なるレーシングゲームではなく、“レーシングシミュレーションゲーム”であるということ。 劇中主人公の台詞でも言及されている通り、このゲームは現実のレースを極限まで追究し、仮想現実に近いゲーム世界を構築していくことで、全世界的な人気シリーズになったということを、レースゲームと言えば「マリオカート」しかやったことがない僕は全く理解していなかった。
この題材自体が、実は極めて現実的で堅実なものだったということを、本作を実際に観てようやく理解した。だからこそ本作はとても王道的で真っ当なスポーツ映画として昇華されていたのだと思う。
また、スポーツ映画としての王道をしっかりと敷いた上で、唯一無二のレーシングシミュレーションゲームの映画化という要素を最大限活かし、映像的にも創意工夫をこらした表現が成されていた。 レース中における主人公や競争相手の車体の位置や順位、ラインをゲーム的に表現し、直感的な分かりやすさを実現したことは、この映画だからこそ可能な映像表現だった。
評判通り、満足度の高いレーシング映画だったとは思う。ただしその一方で、映画ファンとしては一抹の消化不良も残る。 それは本作の監督があのニール・ブロンカンプであるということ。 「第9地区」で一躍世界的成功を収め、その後も良い意味でも悪い意味でもアクの強いSF映画を生み出しているこの映画監督の作品として、本作はあまりにも“フツー”過ぎた。
実話ベースの映画製作において極端な“コースアウト”は無論避けるべきだったのだろうけれど、それでももう少しアクの強いキャラクター造形や、歪なストーリー展開が、この映画監督であればできただろうし、本当は彼自身やりたかったアプローチがあったのではないか。
才気ある映画監督が、スケールアップするキャリアの変遷に伴い、様々なしがらみによって低迷していくことはとても多い。ニール・ブロンカンプ監督がこの先再び自身のアイデンティティを貫く独創的な映画世界を構築できるかどうか、彼自身クリエイターとしての“分岐点”に立っているように感じた。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(字幕)] 7点(2024-09-22 08:32:55) |
7.《ネタバレ》 世界的な人気を誇るレーシングシミュレータゲーム『グランツーリスモ』。徹底的にリサーチを重ねたそのリアルで細かい車の動きはもはや本物と変わらないほどで、いまでも世界中の愛好家がネットでそのドライビングテクニックを競い合っている。そんな中、日本の大手自動車メーカー日産が驚きのプロジェクトを発表し、世界に衝撃を与えるのだった。なんと、ゲームのトッププレーヤーたちをスカウトし、厳しい訓練を受けさせたうえで本物のプロレーサーとして実際のレースに出場させようというのだ――。イギリスの小さな田舎町でゲーマーとして冴えない日々を送っていた青年ヤン・マーデンボローは、家族の反対を押し切り、そんなプロジェクトに参加することを決意する。見事予選を突破し選抜メンバーへと選ばれた彼は自分の人生を変えるため、毎日厳しい訓練に励むのだった。たが、現実のレースはやはりゲームとは違っていて……。監督はかつて、『第9地区』で華々しいデビューを飾ったニール・ブロムカンプ。この人って、デビュー作こそ素晴らしい仕上がりだったもののその後はいまいちパッとしない印象だったのですが、いやはやどうして、久しぶりの大作となる本作はなかなか良い出来だったんじゃないでしょうか。まぁ相変わらずの大味演出は仕方ないとは言え(前半の予選レース参加から選抜メンバーに選ばれる過程がいまいち分かりづらいところや父親との確執があっさりし過ぎなところなど)、後半からの盛り上げはさすが!一年以内に予選4位内に入らないとライセンスが貰えない中、主人公が徐々に自信をつけ少しずつ順位を上げてゆくとこなんてもはや少年漫画のノリ。ベタベタだけど、これはやぱテンション上がりますわ~~。と思ったら、物語の後半、主人公が事故を起こし巻き添えとなった観客が死亡するという重いエピソードも差し挟んできます。ここも重くなり過ぎずかといってあっさり流すわけでもない、絶妙にリアルな描き方で、ここらへん、監督のセンスが光ってますね。んで最後、何もかもを掛けてル・マン耐久レースに雪崩れ込んでゆく展開はもうテンション爆上がり。普通に手に汗握って見入っちゃってる自分が居ました。こんな少年ジャンプみたいな王道ストーリーがまさか実話だなんて!ソニーが全精力を注ぎ込んだであろう映像もスタイリッシュでかっこ良かったし、なにより実際に車を走らせて撮ったというレースシーンは言わずもがなの大迫力。いやー、けっこう面白かった。ブロムカンプ監督、なかなかやるじゃん! 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 7点(2024-08-08 12:01:12) |
6.《ネタバレ》 リアルレーサーに憧れるゲーマーの主人公 元プロサッカー選手で息子の夢とゲームに理解がない父親 父親に可愛がられるサッカー好きな弟 息子に無償の愛を注ぐ母親 主人公同様ゲームで選抜されたライバル達(のちに仲間に) 厳しく接するが過去に挫折を味わっている元レーサーの師匠 控えめだが小さな町から外に出たいと思ってる魅力的なガールフレンド 金持ちで生意気で危険な妨害走行も平気な悪役坊ちゃん(F2時代のマゼピンか) 登場人物のプロフィールだけで展開が読めてしまうほどベタな内容だけどそれが良い 友情、努力、勝利、もうまるで少年ジャンプ 歳取っちゃうと辛い場面のある映画はほんとに苦しくなるからこれくらいがちょうど良い レースの場面も面白かったが心に残ったのは、 テレビ観戦中に事故を目にした母親が「私のヤンが・・・」と激しく動揺するところ、 レース前に息子を訪ねてきた父親が「お前を支えてやれなかった」「守ることばかり考えてた」と涙するのに対して、 ヘルメットに貼った、かつて父親が所属してたチームのステッカーを示して 「父さんは僕の誇りだ」と返して抱き合う場面 泣いちゃったよ 【じむりじんじむ】さん [映画館(字幕)] 7点(2023-09-27 23:57:36) |
5.《ネタバレ》 これは思った以上の良作でした。 若者の成長と挫折そして再生という基本プロットに、師弟の絆、友情、父との確執と和解までもを盛り込んだ、コッテコテといっていい内容です。 当方、ヤン・マーデンボローなるレーサーも、GTアカデミーなるプロジェクトも全く知見なく、ゆえに途中で起こる大事件や、最後のレースの結末もまるで知らない状態だったので、それも良かったのでしょう。だいぶ物語に夢中になりました。
こんな、それこそ映画みたいな劇的な人生を送った人がいるんだな~~と感心感動してついつい鑑賞後にネット検索してしまいましたが・・・ふーむ、かなり脚色はされているんですね。 脚色の事実が、創作物としての映画の完成度を落とすわけではありませんが、モヤモヤしてしまったのは事実。 【Northwood】さん [映画館(字幕)] 7点(2023-09-23 00:27:24) |
4.《ネタバレ》 フォードvsフェラーリと比較してしまうと一段下ではあるが、これはこれでいいかもって感じ。 スカッとした。長さもちょうどよい。 日産の会社の連中は不要だったな。家族の熱い絆ストーリーももっと削ってもよかった。その分もっとレースのシーンを盛り込んでほしかった。 【ほとはら】さん [映画館(字幕)] 7点(2023-09-19 19:39:24) |
3.《ネタバレ》 どだいクルマにほぼほぼ興味が無い人種なので(⇒免許は持ってるケド教習車しか運転したコト無い)、当然モータースポーツにも疎いですし+原作のゲームもやったコト無いですし、だからそもそも今作が(思ったよりワリと結構な範囲で)実話だ…とゆーのが全然理解できてないままで観に行ってしまったのですね。しかしソレでも、カーゲーマーとゆーのは(あくまでシミュレーションではありつつも)概してその運転時間=プレイ時間がトンデモないから、その経験値を武器に現実のレースに挑んでゆくコトだって出来るかも…という根本的な映画のコンセプトについては難なく理解できましたし、その部分でチャンと「一捻り」があるから(こんなシンプルなレース系スポコン映画で+映像技術の進歩を唯々見せつけるのが目的だ!みたいなヤツでも)いちおう娯楽作品としては十分に成立していたかな…とも思いました。とは言え、共感もし易くて観易い…とゆーて相っ当にベタベタな話ではありますね。特に、各種「フラグ」が随所で立ちまくってく様子なんかは、まるで効果音でも付いてるかの如く…といった感じでしたですよね(次に何が起こるか手に取る様に分かってまう…)
重ねて、ベタなストーリーですが映像の出来も全然悪くないので、車好き向けの娯楽コンテンツとしては全然上々なヤツだと思います⇒公開のタイミングも好かったですかね(もし競合があったらこのシンプルさだとそりゃ厳しくなる+ちょっと雰囲気『トップガン マーヴェリック』にも似てるのでまだその余韻がある今時分がタイミングとして最適だったかもと)。ただし、ニ点ほど指摘したいコトがありますね。一つは、コレは単に私が(前述どおり)モータースポーツに疎いからだとは思うのですが、主人公がアカデミー卒業後に参戦したレースってのは一体どーいう位置づけ(ランクづけ)のモノなのでしょーか?+ソコからいきなりル・マンに出るコトになるのですがル・マンとゆーのは出ようと思えば出れる…というヤツなのですかね?(スミマセン全くココら辺の知識が無く…)⇒ソコがもうチョイ分かり易いと好かったな~という単なる個人的な希望ですね。
もう一点、乗り物映画は4Dだ!というコトで池袋で鑑賞しましたが、今回の4Dは特に序盤~中盤の「椅子の動き」がちょっと雑だった様な気がしました。あんな舗装の綺麗なサーキットで走ってて⇒でこんなに横にグラングラン揺れる?というコトでして、イマイチ主人公の車の動きともリンクしてないので臨場感が乏しかったです。まあ、高い追加料金取ったうえであんまり椅子が動かないのもソレはソレで微妙…かとも思うのですが、少なくとももうちょっとメリハリがあると好いな…と(=本当に車が揺れた時だけ大きく椅子が動く様に)。でもしかし、流石にラストでル・マンのレースに入ってからは(荒っぽい展開にもあまりならなかったので)気持ち好く走行してるドライブ感の方が大いに感じられて+風も気持ち好くて十分に楽しかったですケドね⇒池袋だとScreenXの三面マルチプロジェクションでもあるので、その点での臨場感は(終始)好かったと思います。 【Yuki2Invy】さん [映画館(字幕)] 7点(2023-09-17 17:03:20) |
2.《ネタバレ》 実話に基づいたレーシングムービー。大人気レースゲームのプレイヤーをガチのレーサーにする。無謀なプロジェクトに挑むのはオーリー演じるプロデューサーと元レーサーの鬼コーチ。自らの大きな夢を叶えようと、現実と仮想の壁を越えるために懸命にもがく剛腕レースゲーマー。小細工なしのスポコンで、熱き漢たちの熱量が直に伝わってきて楽しめた。師弟愛、親子愛、友情、恋愛…人間ドラマも見応え充分。良作。 【獅子-平常心】さん [映画館(字幕)] 7点(2023-09-17 02:21:30) |
1.《ネタバレ》 原作ゲームは4から最新作の7まで万年素人プレイヤーながらある程度やり込みプレイしている。 事実、プレイしているからこそ分かるツボを押さえた演出がいくつか見られる。
既にプレイしている人なら分かるが原作ゲームにはストーリーが無く、 新車購入→チューニング&セッティング→レースで勝利→賞金で新車購入→… という流れなので、トッププレイヤーが本物のレーサーを目指す実話の映画化にした方が最適解だろう。 そのため、原作をプレイしなくても万人受けしやすい作りになっていて、 モータースポーツ版『トップガン マーヴェリック』と称した方が分かりやすい。 本物志向のアクションに、結末も分かり切った超王道で熱すぎる師弟関係も共通する部分がある。 ソニーが製作に関わっているため、ウォークマンのステマに笑ってしまったが。
実話と言ってもヤンがGTアカデミーを卒業したのが2011年なので(PS3の時代)、 劇中で既にPS5やスマホが存在している地点で、独立したフィクションとして見た方が良さそう。 とは言え、モデルになった人物や実際にあったエピソードが多数含まれていて捻った展開を作り辛いこともあり、 ニール・ブロムカンプ監督作としては肩透かしを食らうのは確か。 アウトサイダーの逆襲と辛気臭い展開をすぐ飛ばすテンポ良い編集に監督のテイストを感じる。
面白い映画ではあるが、秀作以上かというと少し厳しい。 あまりに行儀が良い作りで物足りないくらいだ。 思考停止で楽しむのであればこのくらいが丁度良いかもしれない。 |