53.《ネタバレ》 ストーリーはクレしんらしい単純さ。 戦国時代が舞台というと「雲黒斎の野望」を思い出す。あの映画も戦闘描写が凝ってて面白かったぜ。 本作も「クレしん」らしからぬリアリティ、「クレしん」らしい散々笑ってアホみたいに泣かされる。
タイムスリップした先が戦国時代で、そこに居合わせた武将と姫を野原一家が助けるというシンプルなもの。 だが今回のクレしんは馬鹿馬鹿しいドタバタや「陳腐」を「爆笑」に変える破壊力は控えめ。 論点になって来るのが、クレしんの単純な娯楽性に「戦国時代の「リアリズム」をねじ込んだ点。
確かに合戦の様子はリアル。 当時の合戦のルールを娯楽映画の「お約束」として利用する方法は素晴らしい。
とまあ、合戦に関するリアリティは良いが、肝心の姫様側はリアルとは言えない。
何故なら姫君がそのまま後を継げばそれで良いのだから。 実際の戦国武将は、後継に男がいなければ女でも城主になれた。 巴御前や甲斐姫といった女武将がまかり通っていたなら、女城主が認められないわけがない。 鶴姫という実例もあるし。 本多忠勝の姪だか妹も城を任されていたっけな。 あと秀吉の嫁の茶々とか淀殿とか。 あの上杉謙信だって「実は女だったじゃないか」と疑惑が向けられるほどだ。
まあ余りにリアルにしすぎたらそれこそ「つまらない」。 「七人の侍」のようにリアリティとありえない描写をマッチングさせた「娯楽活劇」とするか、 「乱」みたいな城下町すら無い「悲劇」を描くか。 その点で言えば本作は「親子に見てもらいたい」からこそリアリティをねじ込んだ。
でも、それよりも大きな論点はラストの「唐突な最期」だろう。 戦場のリアリティにこだわった結果、いつものクレしんには無い哀しみが訪れた。 いままでの「クレしん」からは予想も出来ない事さ。 俺だってガキの頃は又兵衛があんな事になって泣いたよ。 ちくしょうちくしょうって悲しくなった。 死ぬ間際に大切な刀をしんのすけにあずけてさ・・・。
戦国武将のクセに女に弱かったりさ、人間臭い又兵衛。 静かな静かな幕引きはちょっと切ない。
クソ・・・もう100回見ても又兵衛のシーンで泣く自信があるぞコンチクショウ。 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 19:20:13) (良:1票) |
52.《ネタバレ》 ずっと見たくてずっと見てなかったのですがようやく観賞。 想像以上にコンパクトに纏められていましたが、色々な思いが凝縮された傑作と思いました。
時代考証を相当やりこんだとのことですが、合戦シーンはさすがの一言。 無駄にBGMを載せずに淡々と、ゆっくりと展開していく闘い、派手ではないものの勢いを感じました。
要所要所に細かく光る演出も見事。 これは声優さんの力量もあると思うのですが、侍と姫の許されざる恋物語が空気で伝わってくる、いい。 下手な恋愛映画より全然切なく、感情移入できる。
野原家の使い方も好き。 主役ではなく脇役、だけどやっぱりいなくてはいけない存在。 5歳の子どもが戦争を理解できるわけがない。それが最後の最後で涙を流す。 苦くて辛いけれども子どもが大人への階段を上った様子が突き刺さるほど伝わってくる。
唯一気になったマイナス点は、しんのすけに対する両親の対応。 戦場に飛び出したしんのすけを追いかけ、捕まえるひろし。あそこは本気で怒ってほしかった。 何やってんだ、馬鹿野郎!くらいの怒りと愛情が欲しかったなぁ。 【HIGE】さん [DVD(邦画)] 9点(2013-06-24 14:53:40) (良:1票) |
51.戦国時代の男女の悲哀さは誰もが理解できるモチーフであるが、それをここまでしっかりとドラマ化した作品がかつてあっただろうか。さらにしっかりとした考証に基づいた合戦描写はそれだけでこの映画の価値。ドラえもんのび太の海底鬼岩城を見た時に感じた、かつてのドラえもん映画はあわよくば大人も楽しませてやる、泣かせてやるという気概があった。この映画のスタッフにはその気概がある。子供はこれを楽しめるのだろうか、というかなぜクレヨンしんちゃんなのだろうか。子供向けアニメということを忘れた大暴走、そして戦国映画屈指の名作。 【Arufu】さん [DVD(邦画)] 9点(2012-04-25 17:15:33) (良:1票) |
50.《ネタバレ》 実は初めて劇場で観たときはちょっと物足りなさを感じていました。春日部防衛隊やひまわりがほとんど活躍していなかったりすることもあるのですが、何よりもラストの「死」が唐突なものだと感じたからです。 でも再度観たら全然違う印象になった。しんのすけは命を存続させただけではなく、彼や周りの人間をちょっとだけ変えていて、戦争や死があふれている世界の中で彼らの人生をよりかけがえのないものにしていた、と実感できたからです。 さらにしんのすけは全然戦争や死を知らなかった、これはしんのすけが愛する人の死を知るまでの物語でもあると思う。人の死で安易に涙を誘わせる映画とは全く違います。 ラストの余韻も素晴らしく、争いのない世の中が幸せであることを教えてくれる映画です。傑作。 【ヒナタカ】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-08-03 23:07:19) (良:1票) |
49.子供向けの作品なので、ありきたりなメッセージ性が無い分、すっきりした物語になっていて、気持ちよく感動できました。姫や「お又のおじさん」の立ち振る舞いも、丁寧に演出されていて、下手な時代劇よりよっぽどリアルな人物像になってると思います。ラストがまたいいのです。中途半端に説明っぽいエピソードもなく、ほろ苦い後味がうれしい。小手先のメッセージより、シンプルな物語の力強さが、結局映画のおもしろさの原点なのだなあと改めて感じました。野武士のエピソードがちょっとだけ余計な感じなので、減点しましたが…。 【かねたたき】さん [地上波(邦画)] 9点(2009-09-19 17:43:46) |
48.《ネタバレ》 こんな作品を子どもの頃に観たかったと思う。そして大人になってから、もう一度観返したかった。それがいちばん幸せな観客でしょう。
姫が池のほとりに佇んでいるだけの、一切の台詞がないプロローグだけでちょっと感動。又兵衛と姫の関係そのものがそうだけれど、大事なことを言葉にしていない。というより言葉にしたら失われるような微妙な心の動きを、徹底して人の動作や、その目に映っているであろう風景を通して表現している。とてもやわらかで、細やかな視線だ。
侍と姫の恋物語はとても素朴で、単純とすらいえる。けれどもその繊細な描写が二人の息遣いまでも伝えるようで、素直な物語のなかにも汲みつくせない美しさがある。「言わぬが花」という言葉が、ほんとうの意味で生かされた作品だ。
また本編の主役であるしんのすけが脇役でしかないという批判もあるようだけれど、ちょっと違うと思う。
たとえばいざ合戦となって野原家が脱出しようというとき、悲壮な表情の両親とは対照的に、しんちゃんはあっけらかんとしている。つまり幼さゆえに絶望的な戦であることが理解できていないわけで、だから戦場の真っ只中に巻き込まれても両親ほど怖がったりはしない。それがラストで又兵衛が倒れて初めて、大声で泣き喚く。あのときようやく、〝死〟というものがしんのすけのなかでリアルになった。
つまりこの物語は侍と姫の悲恋譚である一方で、幼い少年が初めて〝死〟を知るまでの成長物語でもある。
この映画には子どもからはわかりにくい部分も確かにあるだろう。けれど、子どもにとっては世界はわからないことだらけであるのが当たり前のはず。そんななかでしんのすけは、大人の恋や死といったままならない出来事を垣間見て、少しだけ大人になる。人生は楽しいことばかりじゃなく、どうしようもなく失われていくものがあって、だからこそ輝きがあるということを知る。ほんとうの成長はいつも、苦い。
この映画が子ども向きではないという意見もあるようだけれど、ほんとうにそうでしょうか? これはとても真っ当に、本気で子どもに届けられた作品だと思います。 【no one】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-04-14 13:28:16) (良:3票) |
47.《ネタバレ》 泣けて笑えて、とても満足させられる作品でした。 確かにしんちゃんはいつもほどの活躍ではありませんでしたが、しんちゃんはいなくてもよかったとは思わないですね、僕は。 敵の大将に向かって言う台詞はとても心が痛くなりました。 【eureka】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-12-28 13:58:12) |
46.クレヨンしんちゃんと戦国時代が、ここまでミラクルマッチするとは思ってなかった。風情ある日本の景色。決して結ばれることのない姫と侍、その苦悩と葛藤すら美しい。 これが日本の美徳なんだなぁと思います。日本人でよかった。 最後の最後までほんとよく出来た作品だと感心します。 【ライトニングボルト】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-04-02 17:21:34) |
45.子供も大人も楽しめる。素直に凄いと思います。ラストの爽快感は異常 【名無しD】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-12-22 22:18:43) |
44.《ネタバレ》 もともとクレしんシリーズはばからしくて笑えるので好きなんですがこれは違う理由で大好きな作品です。テレビでただやってたから見ただけだったのに大号泣しました。まさか最後にああなるとは思わなかったのであのシーンを見たときはかなり唖然として暫く真っ白になってました。クレしんを馬鹿にして見ないひとがたくさんいますがそういう人に是非見てもらいたい作品ですね。 【にあ】さん [地上波(吹替)] 9点(2006-12-19 22:03:37) |
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43.《ネタバレ》 いわゆる「子供に見せたくないアニメ」のクレしんしか知らなかったのですが、ここでの高評価が気になって劇場版を初めて鑑賞しました。これは非常に面白かったです。又兵衛も廉姫も、ひろしもみさえもしんちゃんも、みんなキャラクターがいい!それとこの時代の合戦がリアルに描かれていた事にも驚きました。大河ドラマより良く出来てるんじゃないでしょうか、春日勢の長槍隊の戦いぶりには感心です。 ラストの展開は「殿様にお願いする褒美?そりゃあ結婚のお許ししかないだろう!」と確信していた私には予想外でしたが、ストーリーとしてはあれで良かったのかもしれません。その後現代に戻ってきた時に誰もはしゃいでいなかったのがリアルでした。 個人的には、ひろしが何を考えて○ディ○レードを車に積み込んだのか気になります。 【alian】さん [DVD(邦画)] 9点(2006-07-17 04:02:43) |
42.基本的に泣かせる映画には高得点を付けない小生なのだが、これだけは別。号泣したからではなく、とにかく演出が光るから。子供も飽きさせず、それでいて余韻を残しながらもクライマックスに引っ張る演出は、アニメだけでなく映画界が見習うものがある。ノスタルジーに浸りたいならオトナ帝国、ファンタジーを感じたいならこの作品といったところか。 【ダブルエイチ】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-06-13 12:45:50) |
41.まさかこんなことが、、、と思ってしまいました。クレヨンしんちゃんといえば小学生以来見ていなかったわけで、敬遠ぎみになってしまいがちでしたが、なんとなんと!!!! 固定概念に縛られることの愚かしさを改めて教えられて気分です。みんなのシネマレビューに登録していなかったら出会えなかった作品でしょう! 【maemae】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2006-05-06 03:59:31) |
40.このサイトであまりに評価が高いので観ることにした作品です。いやー驚きました。もともと初期の宮崎駿作品や劇場版ドラえもんの質の高さは知っていたので、アニメに対する偏見はなかったつもりですが、劇場版のクレしんがまさかこれほど素晴らしいとは。笑いあり涙ありの感動作で大人の鑑賞に十二分に堪えます。さらに驚かされるのはその時代考証の精密さ。下手な時代ものを遥かに凌駕するものでした。たぶん本来のクレしん映画からは外れる(ルパンシリーズにおけるカリオストロのようなもの)のかもしれませんが、こういう一般大衆を引き付ける作品がシリーズに1本あるだけで、他の作品を芋づる式に鑑賞する観客もいることを考えると、クレしんシリーズ作品としても非常に価値が高いと思います。自分にとってはこの作品をきっかけに映画だけでなくクレしんを観るようになった非常に大切な作品です。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 9点(2006-04-18 18:26:51) |
39.十分よい作品だということは分かっているので、この作品に関しては、もっと多様な人に見てもらって評価にもまれてほしいと思います。映画批評する層は本の構成や状況描写から見てしまうと思うし、一般の人が見て面白いと思ってくれるのかとふと思います。 いえ、十分よい作品なんですよ。 【ジョージ】さん [地上波(邦画)] 9点(2006-02-23 01:03:39) |
38.これやばい。何がやばいかって?そこらへんどこにでもいる高校生の俺を泣かせてしまうほど、しんちゃんがいい男だったからさ。 【ばっじお】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2006-01-12 17:37:44) (良:1票) |
37.今までバカにしてごめんなさい。思いっきり泣かされました。 【バイオレット】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-11-05 12:37:09) |
36.合戦シーンで怖いと怖気づく息子を尻目に一人鑑賞。 ラストの台詞にジーン。。大人帝国よりも好きです。 【静葵】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-10-30 00:17:37) |
35.うわ、書きたいこと全部先に言われちゃった・・・高評価も納得です。思うことは皆さん同じなんですね。私も「おい、青空侍」に泣かされました。とにかく普通とは違う意味で「子供が見るもんじゃない!」という感じです。(いや、子供が見てもいいけどね) |
34.我ながら単純だとは思うけど、感動してしまった(家族愛の部分はそうでもなかったけど、とにかく二人の悲恋に)。なかでも廉の表情がいい。これを実写でやってしまうと、俳優のふだんの言動なんかが脳裏をよぎってシラけてしまいそうだし、ほとんどアニメは見ないけど、そういうところはアニメならではの良さかなとは思う。あと、バックに流れる哀愁を帯びた音楽が、これを感動作にした大きな要因だと思う。 【LEFTWING】さん [地上波(字幕)] 9点(2005-10-02 16:45:20) |