《改行表示》 8.《ネタバレ》 本作は、サスペンスではなくホラーとして観るのが一番良い鑑賞法であると思う(私がホラーマニアだからそう言ってる、ということではありません)。まず、世評に「世紀のドンデン返し!」とか言われているのを耳にしてしまうと「ああ、これはサスペンスなんだ」となってしまうので、そこがまず本作を真に楽しむ阻害要因になっているように思う。そして、邦題も実はイケてない。「うん?誰が悪魔なの?」となって、やっぱりサスペンスになってしまうからだ(つーか主人公以外には女なんて1人しか出てこないやんけ→ほぼネタバレやん)。シンプルに『悪魔』というタイトルだったら良かったのにと思う。 映画人生における後悔はいくつも在るが、本作を事前情報を入れた状態で観てしまった、というのは間違い無く最上位に入る。他に上位なのは「サイコをリメイクから先に観たこと」「シックス・センスのオチを先に聞いてしまったこと」とかだろうか。 【Yuki2Invy】さん [DVD(字幕)] 8点(2020-03-07 03:37:51) (良:1票)(笑:1票) |
7.《ネタバレ》 スターチャンネルEXに加入して念願の初鑑賞。シモーヌ・シニョレの悪魔ぶりを身構えていたのですが。ヴェラ・クルーゾーのヘナヘナキャラに対して肝の据わった男っぷり・・もとい、女っぷりであるものの悪魔とはとても呼べなく肩透かし。しかし、遺体が消えた時点で、これは・・・確かに悪魔のような女でありました。そこに至る演出が恐ろしく息が止まりそうでした。そしてモネ君の台詞に「死んでないの?いや、死んだでしょう?」激しく混乱したところです。シモーヌ・シニョレ出演以外の知識無く観たのが幸いした傑作です。 |
《改行表示》 6.《ネタバレ》 有名な映画なのでタイトルは知っていましたが内容は全然知らず、でもそのおかげでこの映画の醍醐味を充分に味わうことができました。真相が明らかになった時は、一流マジシャンのパフォーマンスを見た時のような「ダマされる快感」に酔い痴れました。 この映画では、結末のインパクトを高めるために、見る側を騙そうとする「罠」がいくつも仕掛けられています。 まずは、鑑賞者の意識を「2人の女性の完全犯罪は成功するか否か」という視点に向かわせようとします。 汽車でタバコを吸う校長を迷惑がる2人の女性客、風呂に水を入れる音がうるさいと怒り時刻をメモする夫婦、酔っ払いが車に乗り込もうとした時に店員が確認した汚れた荷台、死体をプールに投げ込む直前に点いた部屋の電気等、「これが後でポイントになるんだよね」と思わせるシーンが次々と・・・。でもこれだけ続くとさすがに「トラップか?」と思っちゃいますね。 次は「プールに投げ込んだはずの死体が消えた」ところから、怪奇ホラー系の匂いを漂わせます。 クリーニング屋から届く校長のスーツ、校長に怒られたという少年、集合写真に写る校長らしき影・・・。安っぽい謎解きドラマだと、こんな怪奇現象は「犯行を紛らわせるためのトリック」で片づけられるのですが、本作では、このホラー的な空気が最後に活きてきます。 そしていよいよラスト。バスタブの校長よりも、自分は死んだ妻の表情の方が怖かったです。ショック死する妻、計画が成功し喜ぶ校長と愛人。でもそれは探偵が見抜いて手を打っていた・・・と、意外な真実を次から次へと畳み掛けてきます。 これでこの事件も解決・・・と思ったら、最後の最後、少年がパチンコを「校長夫人にもらった」という謎のシーン。 一瞬、実は夫人は死んでおらず、妻が探偵と結託し、校長と同じ手を使って2人を陥れ、「さらにもうひとつの真実があったのだ!」ということを表しているのか・・・とも思いましたが、校長が妻の脈が止まったのを確認しているので、これは違いますね。 そうなると、少年が見たのはやっぱり死んだはずの校長夫人だったのか・・・? あえて真実を示唆せず、最後にもう一度観客をゾッとさせる怪奇ホラーの余韻を残すことで、作品全体の印象がグッと深まりました。 最初にも書きましたが、この映画、最後の真相を知らずに観ることができてホントにラッキーでした! 【ramo】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-05-24 21:05:08) (良:1票) |
《改行表示》 5.《ネタバレ》 「恐怖の報酬」「情婦マノン」と傑作が多いクルーゾーだが、中でも強烈な“どんでん返し”を味わえるのが今作「悪魔のような女」。俺はこの作品が一番好き。 澱んだ水面が拡がるプールの不気味さ。 男を男の愛人とその妻が共謀して殺してしまうのだから恐ろしい。 「恐怖の報酬」が一種ホモセクシャルな部分があるとすれば、本作はレズビアンの匂いがしてくる。どちらも願い下げだ。 しかし「恐怖の報酬」は野郎共の競争と友情という物語で、ホモの匂いなんて微塵も感じなかった。淀川長治さんに言わせれば「太陽がいっぱい」もホモ的な何かがあるらしい。 俺は願い下げだ。 一方、「悪魔のような女」は男の暴力で妻は心が離れ、皮肉にも男の愛人と心が通う。 本来憎み合う筈の女二人がだ。 さて、そんなウフフン状態の二人だが待ち受ける結末が何とも・・・ネタバレと書いたが、ネタバレするのが嫌になる、忘れてしまいたくなるような怖すぎるラスト。 ヒッチコックはクルーゾーのこの作品に嫉妬したらしく、ホラー映画「シェラ・デ・コブレの幽霊」を手掛けたジョセフ・ステファノの協力を得て「サイコ」を撮ったらしい。 ヒッチコックの一瞬背筋が寒くなる巧みさ、そしてクルーゾーのねっとりとした恐怖を徐々に肌に塗られていくような戦慄。 見比べて見るのも面白い。 シャロン・ストーンには悪いが、ジェレマイア・チェチェックの「悪魔のような女」もポール・バーホーベンの「氷の微笑」も、クルーゾー映画の怖い女性たちを知ってしまうと霞んで見えてしまう。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-05-14 17:23:27) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 前半で殺人の過程を提示し、プールの水を抜くところから一気にミステリー度が加速。ニコルが学校を去ってからはサスペンス度が怒涛のうねり。そしてホラーでさらりと締めくくる。うーん、見所たっぷりでございます。サスペンスは、不安にかられるクリスティーナの陰影、光をぼんやりあてたり、上半身だけあてたり、窓際から漏れる光をあてたり、とこのあたりの演出はしびれます。前半にも、車が通り過ぎる水たまりのショット、小石を投げ波紋が広がるプールの水面のショットをさりげなく射し込み、「水」がキーであることを表現。前日の魚料理が出てくることや、おまけにバスタブ2階の住人が聞いていたラジオのクイズ番組の問題が、「モザンビーク海峡をはさむ地は?」とこれまた水に関わる懲りようで、それらを発見する楽しみも与えてくれております。そんでもってラストのラスト、学校閉鎖の日にまで壁際に向かって立たされる少年モネの背中・・・こんなのアンリ!? 【彦馬】さん 9点(2004-09-05 00:46:55) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 リメイク版を先に見てしまった。もったいないことをした。それでも十二分に堪能できたのは、ラストのモノクロを最大限に活かした恐怖の演出ゆえでしょう。音も効果的でした。でも、あまり怖い怖いと書きたてるとせっかくの良作が敬遠されてもこまるなあ。怖くないですよ~。(もう遅いって。)一応ネタバレ有りにしておこう。 【R&A】さん 8点(2004-04-26 16:00:29) (笑:1票) |
2.《ネタバレ》 50年代のフランス映画を観て、「おもしろい」とか「美しい」とか「素晴らしい」と思う事は多々ある。だが「まじで恐い」と思ったのは初めてです。あのラスト・・・ブルブル・・・ 引き際の鮮やかさは、さすが名匠アンリ・ジョルジュ・クルーゾー。この人の映画は本当にラストが上手い。展開も構図も、今観て「現代的」と思えるほどの素晴らしさです。リメイク版も今度観てみよう。 【ともとも】さん 8点(2004-03-22 21:56:51) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 傑作「恐怖の報酬」には惜しくも及ばないものの、こちらも素晴らしい。何と言ってもラストの衝撃のどんでん返し!!一見ミステリかと思わせておいてホラーという展開は或る意味反則に近いのだが、アラン・パーカーの「エンゼル・ハート」なんかと違って、クルーゾーは直接ビジュアルで見せるような愚を犯さず、少年のさりげない台詞で絶妙に暗示するだけなので観る者の感性に遥かに訴えて実に秀抜。ジョルジュ・ヴァン・パリスの音楽が幕切れの不気味さを一層増幅させて見事!このミステリとホラーの絶妙なブレンドの味わいはディクスン・カーの傑作「火刑法廷」にも通じるものがあるナァ…。出演者では矢張りヴェラ・クルーゾーがMVP。名優シャルル・ヴァネルの使いドコロを誤った感が拭えないので悪いけど1点マイナス。リメイク版?論外! 【へちょちょ】さん 9点(2003-10-16 15:00:23) (良:1票) |