1.僕は本作を終始息子の立場から鑑賞していました。
愛する人を残してこの世を去った無念。
1人残された母を心配しながらもまだまだ母の傍にいたい思い。
様々な感情が入り混じる息子の思いを二宮和也が好演しています。
劇場には吉永小百合さん演じる母親と同年代、
あるいは年上の女性の方も沢山見に来ておられました。
息子を失った癒えることの無い悲しみ。
終盤には劇場の至るところから鼻をすする音が聞こえていました。
きっと皆さん、母親の立場から本作を見ておられたのでしょう。
ラストで吉永小百合と二宮和也の母子の姿が消えていく。
戦後長い年月が経過し、戦争の記憶も少しずつ薄れていく。
本作は松竹の120周年記念作品ということですが、昨年は戦後70周年の節目の年でもありました。
このタイミングでの本作。作品に込められた戦争で亡くなられた方々への鎮魂の思い。
エンドロールの合唱には、山田監督のそんな思いを特に強く感じました。