2.《ネタバレ》 数学で戦争を止める、と、アメリカ留学まで棒に振って建造費の矛盾を暴き出した櫂が、結局大和の美しさに負け、数式を平山中将に教える。
日本の象徴として造られた大和が沈むことで、日本は敗戦を受け入れることが可能になる、という論理は、理解したくはなかったが、日本人として充分理解できる。
使われた鉄の量と建造費の相関関係に辿り着くドラマも手に汗握ったが、特筆すべきは、その不正を暴いた会議の席上での、櫂と平山の対決の場面。菅田君の演技は、私が言うのもなんだが、素晴らしい。数学の天才としての変人を見事に演じ切っている。
が、平山中将の演技はさらにその上を行っていた。
建造費の不正に低い見積もりは、日本を列強から守るためのものだ。
この瞬間に、悪役としての平山が消え、愛国者としての平山が浮かび上がり、その重厚な演技と相まって鳥肌が立つようだった。
そして平山の元を訪れた櫂との二度目の対決。
沈ませるために造る。だから数式を教えてくれ。
二人の静かな対決も、切なくて見事だった。
素晴らしい配役と演技。
いい映画を観た。