1. 私の中では最高点の映画です.アイルランドを第二の故郷と呼ぶ D. デイ=ルイスが、寡黙でストイックな役作りをすればするほど、痛いほど哀しく透けて見えてくるアイルランドに対する熱情と愛情.そして、後半の見せ物ボクシングとは好対照をなす、打たれても打たれても倒れないという、ダニー・フリンが示す戦い方.これは、歴史的に翻弄されてきた北アイルランドで培われたものであり、未だに IRA の武装解除がなされず、宗教と領土問題の強いねじれを引きずっている中で、まっとうなメッセージを投げかけてくる.この説得力は役者デイ=ルイスに負うところが大きい.ごまかしを一切せず体当たりでボクサーを演じようとした(この人はいつもそうだが)熱意が、画面から静かに確実に伝わってくるから.